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明石家さんまが「ラブメイト10」で口にした想い「笑って過ごしたらええねん」、お笑い怪獣が見せた人間味

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:アフロ)

7月22日から23日にかけて放送のバラエティ番組『FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)。初日の23時30分から26時までは、同番組の名物企画「明石家さんまのラブメイト10」が放送されたが、そのなかでとても印象深い場面があった。

同企画は、明石家さんまが「気になった女性」を発表するというもの。これまでは1位から10位まで順位をつけて発表していたが、今回はランキング制を廃止して10人を発表する内容へと変更。インフルエンサーとして活動する阿部なつき、明石家さんまが親心を持って可愛がってきた広末涼子、新幹線の同車両に乗っていた「3月27日に新幹線でポッキーをあげた女性」らのエピソードが語られた。そうやって企画が進行するなか、明石家さんまはこんな言葉を漏らした。

「楽しいのは俺らだけかなあ」

企画の進行役、岡村隆史(ナインティナイン)は「CM入った瞬間に『楽しいなあ』って言うてはりましたもんね」と返事をすると、明石家さんまは照れくさそうに頭をかきながら、「キャリアを積んでるけど嬉しいねん。後輩たちがこうして頑張ってくれてるのは」と満面の笑顔を浮かべた。

さらにそのすぐあと、岡村隆史が「楽しい時間はすぐ過ぎていきますけど」とコメントをすると、共演の今田耕司がかつて接客を受けた女性について「楽しい時間は早よ過ぎるんよ(と言われた)。覚えてるねん、忘れへんねん、そのフレーズ。なににでも当てはまるから、ほんまそうやで」と回想。すると明石家さんまは小さく「本当に、本当に、笑って過ごしたらええねん」と話した。

ryuchellさんとの「コンビネタ」を披露

確かに、SNSでも視聴者から「人数が多い」などの指摘があったように、同企画のレギュラーメンバーである明石家さんま、今田耕司、岡村隆史に加えて、今回は『27時間テレビ』の総合司会をつとめる千鳥、かまいたち、ダイアンも参加したことで賑わい過ぎていた部分もあったかもしれない。見づらさを感じた視聴者も、なかにはいたように思える。ただ、明石家さんまもそのことについては自覚をしていたはずで、だからこそ「楽しいのは俺らだけかなあ」と視聴者を配慮する発言があったのだ。

ただそれでも今回は(いや、今回に限らずだが)、「自分たちがいろんなことをおもしろがったり、笑ったりしているところを観てもらいたい」という、バラエティ番組に出演する者としての純粋な気持ちがあったのではないだろうか。「たくさん笑うこと、たくさん楽しむことの大切さ」を伝えているようだった。

そのひとつの象徴となっていたのが、「ラブメイト10」で最初に電話がつながった女性が会話のなかで「就職先が保険関係に決まった」と明かした際、明石家さんまが「トントントン」と反応したところだ。

これは、7月12日に亡くなったryuchellさんが生前、明石家さんまと『行列のできる相談所』(日本テレビ系)で共演したときに誕生した「コンビネタ」である。同じく番組に出演していた当時のガールフレンド・pecoさんが「お父さんはなにをやっているの」との質問に対して「建築関係」と答え、明石家さんまがさらに「建築関係のお父さん(はボーイフレンドがryuchellさんで)良いの?」と聞くと、その横でryuchellさんが身振りをつけて「トントントン」と口にした。そういったやり取りから、明石家さんまとryuchellさんによる「建築関係トントントン」という「コンビネタ」が出来上がった。

明石家さんまは、ryuchellさんの訃報後に出演したラジオ番組『ヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)で、年末特番『明石家サンタ』(フジテレビ系)で「建築関係トントントン」を披露していることを話した上で「(ネタは)ずっと生き残っているんです。これは生かせてあげようと決意した」と言い、その気持ちを今回の『27時間テレビ』でもあらわした。

そういった経緯や決意を踏まえると、「本当に、本当に、笑って過ごしたらええねん」という言葉は、さまざまな人に向けた「お笑い芸人・明石家さんま」の心からの願いのように思えた。また、明石家さんまがBIGINと共同作詞した楽曲『笑顔のまんま』(2009年)などにも通底するメッセージではないだろうか。

「COMEDY MONSTAR」の人間的な部分

岡村隆史は「お笑い怪獣」という明石家さんまの愛称にちなんで「COMEDY MONSTAR」(本来の綴りは「MONSTER」。「STAR」をかけた造語)と書かれた特製Tシャツをプレゼントし、明石家さんまは同企画中、ずっと着用していた。ただ、この企画では誰よりも人間的な部分を観ることができた。

「ラブメイト10」自体は、企画趣旨が時代に沿っていないという意見もあり、今後の実施に関して検討が重ねられるだろう。ただ、もちろん多数の「おもしろい」の声も無視することはできない。きっと、できるだけたくさんの視聴者が「笑って過ごせる」ような形を、明石家さんまはスタッフや共演者と一緒に模索してくれるのではないか。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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