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6月から人気の森林浴と健康への効果:自然の抗菌力「フィトンチッド」

TOUYA化学系研究者

自然の抗菌力「フィトンチッド」: 森林浴と健康への効果

 植物は、動物のように動き回ることができないため、自身を害虫や病原菌から守るために揮発性物質「フィトンチッド」を放出しています。ロシアの生物学者トーキン博士が発見し、「フィトン」(植物)+「チッド」(退治する)と名付けたフィトンチッドには、抗菌作用や防虫作用の他に、ストレスの軽減、免疫力の向上、リラクゼーション効果などの健康効果があると報告されています。

森林浴のすすめ

 森林浴は、1982年に林野庁が提唱した日本発祥の概念で、森林の中を散策したり景色を楽しむなど、たくさん五感を使い、フィトンチッドなどの揮発性物質を浴びることで健康になろうというものです。国際的にも「Shinrin-yoku」として注目されています。

森林浴の効果

 森林浴には、免疫機能の向上効果、特にナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性を向上させることが知られています。NK細胞はリンパ球の一種で、ウイルスに感染した細胞や、がん細胞を認識して攻撃する細胞です。
 加えて、ストレスの軽減効果も森林浴の有名な効能です。森林環境の静けさと美しさが、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げる助けとなります。これにより、リラックス効果が生じ、心身の緊張が解放されます。

参考:環境省(国立公園に、行ってみよう!)

 6~8月はフィトンチッドの量が多くなるため、森林浴に最適な季節になります。自然環境を楽しみながら心と身体の健康を維持していきましょう。

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。化学に関連する記事を書いています。

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