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ソフトバンク戦 8年ぶりの3カード連続勝ち越し《7/30 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
29日の2戦目に2点二塁打を放った、6月のファーム月間MVP・森越選手。

7月28日と29日は、阪神ファームにとって今季最後の甲子園開催ゲーム。相手のソフトバンクとは6月10日以来(7月13、14日の雁の巣2連戦は雨天中止)で、約1ヶ月半ぶりの対戦でした。前回は今季初の5連勝中だっただけでなく、ソフトバンクにも5連勝中で、これは2009年8月16日から9月22日の間に引き分けを挟んで5連勝して以来6年ぶりのこと。そして28日の初戦に勝ち、2005年4月21日から5月15日に記録して以来、10年ぶりのソフトバンク戦6連勝となりました。

翌29日は1点差で負けてしまい、このカードの連勝は6でストップしたものの、鳴尾浜で行われた30日は逆転勝ち!攝津、千賀、帆足という先発投手を相手にした3連戦、2勝1敗で終えたのは大きいでしょう。ソフトバンク戦の3カード連続勝ち越しは、2007年6月26日から8月7日(2勝0敗、2勝1敗、3勝0敗)にあって以来、これまた8年ぶり。昨年に続いて、ことしも『何年ぶり』『いつ以来』がたくさん出てきそうですね。

【29日・甲子園ラストゲームは惜敗】

では、まず29日に行われた甲子園球場での試合結果です。テレビ中継をご覧になった方も多いでしょうし、経過は省略しようと思ったんですけど、いろんなことが多すぎて…。大変長くなりました。ご了承ください。

《ウエスタン公式戦》7月29日

阪神-ソフトバンク 14回戦 (甲子園)

ソフ 201 102 000 = 6

阪神 400 001 000 = 5 

◆バッテリー

【阪神】サンティアゴ-小嶋-●榎田-二神-筒井-鶴 / 梅野

【ソフ】○千賀(8勝2敗)(6回)-岩嵜(2回)-S加治屋(5勝2敗3S)(1回) / 細山田

◆本塁打 カニザレス10号ソロ(サンティアゴ)

◆二塁打 森越、釜元、斐紹

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:伊藤隼 (4-1-0 / 2-1 / 0 / 0) .261

〃走指:田上 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .259

2]中:柴田  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .356

〃二:西田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .205

〃打:緒方  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .224

3]一中:中谷 (3-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .303

4]左:ペレス (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .288

5]捕:梅野  (3-2-1 / 1-1 / 0 / 0) .319

6]二三:森越 (4-1-2 / 1-0 / 0 / 1) .340

7]遊:北條  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .252

8]三一:陽川 (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .242

〃走:荒木  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .169

9]右:横田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .211

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

サンテ 4回 79球 (8-5-1 / 4-2 / 2.49)

小嶋  1回 17球 (1-2-1 / 0-0 / 1.19)

榎田  1回 26球 (1-2-2 / 2-2 / 2.08)

二神  1回 19球 (0-3-0 / 0-0 / 2.09)

筒井  1回 24球 (1-0-0 / 0-0 / 2.53)

鶴   1回 11球 (0-0-1 / 0-0 / 3.15)

<試合経過>

サンティアゴは1回、1死から四球とセカンド森越の捕球エラーで2死一、二塁として4番・カニザレスに左前タイムリー。松中は二ゴロに打ち取るも2死二、三塁となり、塚田の左前タイムリーで2点を失いました。しかしその裏、柴田の四球と中谷の死球などで2死一、三塁として梅野が左前タイムリー。続く森越は中越えの2点タイムリーを放って逆転!さらに、センターからの返球を受けたショート・金子圭が三塁へ悪送球(ボールは三塁ベンチの屋根に)、三塁へ進んでいた森越も還っています。

4対2とリードしたものの、3回にカニザレスの10号ソロで1点差。4回は長谷川の二塁打などで2死三塁となり、上林に中前タイムリーを許して同点。サンティアゴは4回を投げ8安打4失点(自責2)です。5回は小嶋が先頭の松中に左前打、2死後に四球があったものの無失点。ところが6回、榎田が江川に四球を与え、ボークとカニザレスへの四球(敬遠)で2死一、二塁として斐紹に中越え2点タイムリー二塁打を浴びました。

ちなみに敬遠の四球で一塁へ向かったカニザレスが打席に戻された件。榎田の投じた4球目はボークと宣告されたのに、ボールカウントが減らされていなかったようで。四球となった時の本当のカウントは3-1だったわけです。審判から「3ボール1ストライクでゲームを再開します」とアナウンスされたけれど、なぜそうするのかの説明がなくて「???」でしたよね。

2回以降は梅野のヒット1本で、5回までで9つも三振を奪われていた千賀に対して、6回裏は柴田がショート内野安打と金子圭の悪送球、中谷はセカンド後ろに落ちるヒットで無死一、二塁となり、ペレスが二ゴロ。二塁封殺、と思ったら転送されたショートが捕れず。金子圭に3つ目のエラーがつきました。これで柴田が生還!なおも無死一、二塁で梅野は三振。森越も三振(この時に飛び出した中谷と、つられて出たペレスが挟まれたもののセーフ)で2死二、三塁となり、北條も三振で1点止まり。千賀には6回で12三振を喫しています。

7回は二神が3者連続の空振り三振!8回の筒井は先頭・釜元に内野安打と盗塁を許しながらも無失点。9回は鶴が先頭に四球を与えますが、併殺などもあり3人で片づけました。でも打線は7回からの3イニングで、2安打に4四球と走者を出したのに得点なし。1点及ばず、連勝ストップです。

小嶋、復帰登板も「まだ全然」

右肩の痛みにより、7月10日以来の登板だったサンティアゴ投手は「2ストライクから打たれた。2ストライクからの組み立てができなかった」と反省。そして「体が横降りになってしまったので、修正してケガをする前のフォームにしないと。次は長いイニングを投げられるようにしたい」と話しています。

この写真ではわかりませんかね?細くなった小嶋投手(右)。
この写真ではわかりませんかね?細くなった小嶋投手(右)。

体調を崩し、戦列を離れていた小嶋投手も実戦に復帰しました。先日の紅白戦で投げる予定だったんですが、2日続けて中止になって29日のソフトバンク戦に。久々の登板を振り返り「全然でした。球の感じが全然。感覚もそうだし、真っすぐもそんなによくなかったし。140キロ出ていなかったでしょう」と小嶋投手。「でも変化球がよかったんで。カーブ、スライダー、フォークを投げました。三振2つはフォークですね。もっと真っすぐを力強く投げられるように頑張ります!」

かなり痩せたため、元気になった今でも「会う人、会う人に“大丈夫?”と心配される」と笑っていました。6月下旬からの療養中は、やはり食が細くなったらしく「6キロも減ったんですよ。やっと2キロ戻ったところ。体重が戻らないので時間がかかったと思います。長かったですね」とのこと。でも体調はもう問題なく「ちょうど体を絞ろうと思っていたところだったんで」と言っていました。今、いい感じに見えます。

二神投手は7番からの下位打線ながら3者連続三振。25日のオリックス戦(富田林)も、その前の9日・広島戦(由宇)もビシッと三者凡退でした。「ことしはもともと力感があるし、夏になって腕が振れてきたのかな。でも、きょうは逆に力んでバラバラだった。追い込んだのは早かったけどバラバラだったので」と、フルカウントになってしまったことが反省材料のようです。

初回にタイムリー、梅野&森越

2試合とも2安打1打点の梅野選手。あとは「守る野球の大切さを」と首脳陣が期待。
2試合とも2安打1打点の梅野選手。あとは「守る野球の大切さを」と首脳陣が期待。

千賀投手から2安打の梅野選手。「球が速く、ファウルした時に振り遅れているなと感じたので、ちょっとグリップを短く持ってコンパクトにいけました」。逆転を呼んだ1回のタイムリーは「とにかく初回に2点取られていたので、2アウトだけど何とか1点でも取れば(サンティアゴ投手の)スイッチが入るだろうし。立ち上がりに2失点というのは、ピッチャーの不安が残るもの。負けていても1点差なら気持ちもまだ楽だろうなと思って。1本のヒットで流れもいい方向に変わったから、よかったです」とのこと。

逆転の2点タイムリー&相手エラーで自身も生還した森越選手は「1回にエラーしてしまったんで、取り返すチャンスだと思っていきました!取り返せてよかった」とホッとした様子。続けて、こちらが何かを言う前に「最終打席は」と切り出し、そのあと10秒くらい間をあけて「…やっちゃいました」とひとこと。8回1死一、二塁での遊ゴロ併殺打を反省しています。

なお球団選定の『ファーム6月度 月間最優秀選手』に選ばれた森越選手は、先日受賞した6月度のミズノ月間MVP(ウエスタンリーグ月間MVP)と合わせて、試合前に表彰を受けました。もらった賞金でみんなと食事に、とは本人が言ったわけじゃなく、田上選手のコメントです(笑)。ダブル受賞、おめでとうございました!

【30日・終盤に逆転して勝利!】

30日は鳴尾浜に移っての試合で、試合のなかった1軍から、小宮山選手、坂選手、大和選手、俊介選手の4人が参戦しました。ナイターに慣れている面々に、この暑さは堪えたでしょうね。また1軍といえば、この試合で秋山投手と岩貞投手が1軍の先発枠を賭けて登板し、中西1軍投手コーチも視察に訪れたそうです。私は見に行けなかったので、教えてもらった経過とコメントをご紹介します。

《ウエスタン公式戦》7月30日

阪神-ソフトバンク 15回戦 (鳴尾浜)

ソフ 021 000 000 = 3

阪神 000 200 22X = 6 

◆バッテリー

【阪神】秋山-○岩貞(3勝3敗1S)-金田-S石崎(3勝3敗5S) / 小宮山-小豆畑(6回~)

【ソフ】○帆足(3勝3敗)(6回2/3)-加治屋(1/3回)-日高(1回) / 拓也

◆本塁打 松中7号2ラン(秋山)

◆二塁打 上林、梅野、小豆畑

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:俊介  (3-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .316

〃走左:柴田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .353

2]中:大和  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

〃中:横田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .211

3]三一:坂  (3-0-0 / 0-1 / 1 / 0) .231

〃一:荒木  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .169

4]右:中谷  (4-2-1 / 0-0 / 1 / 0) .307

5]指:梅野  (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .329

6]一三:陽川 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .242

7]捕:小宮山 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

〃捕:小豆畑 (2-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .225

8]遊:北條  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .253

9]二:黒瀬  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .215

〃打二:森越 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .347

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

秋山 4回 77球 (4-6-1 / 3-3 / 3.44)

岩貞 3回 53球 (4-1-1 / 0-0 / 2.75)

金田 1回 16球 (0-0-1 / 0-0 / 3.86)

石崎 1回 20球 (1-3-0 / 0-0 / 3.99)

<試合経過>

三者凡退で立ち上がった秋山ですが、2回はカニザレスに死球を与え松中の2ランで2点を失い、3回にも二塁打を放った上林をカニザレスの右前タイムリーで還しました。4回は三者凡退。一方、帆足に対して梅野の中前打(2回)1本に抑えられていた打線は4回、俊介の中前打や暴投、四球などで1死一、三塁として中谷の中前タイムリー!

なおも一、三塁で中谷はスタートしますが、梅野が空振り三振。ただしキャッチャーからの送球をセカンド古澤は後ろへ逸らしてしまいセーフ。そこで坂が三塁から生還!エラーは記録されておらず、坂と中谷に盗塁がついているので2点目はホームスチールですね。

2人目の岩貞は、5回は2死からヒット、6回は先頭のヒットと四球が続き、7回は先頭と2死後にヒットと毎回ランナーを出しますが、無失点で3イニングを投げ終えました。打線は7回裏、2死から陽川が中前打とボーク、小豆畑は右前打で一、三塁となり、北條の左前タイムリー。ここで帆足が降板し、代わった加治屋から代打・森越が四球を選んで2死満塁。続く俊介も押し出し四球で勝ち越します。

8回は金田が2死から四球を与えるも無失点。その裏、1死から中谷の左前打に続いて梅野が右中間へタイムリー二塁打!2死後に小豆畑も右越えのタイムリー二塁打を放って2点を追加しました。9回は石崎が登板。先頭・金子圭に左前打されたものの、あとはすべて空振り三振に斬って取り試合終了です。

秋山vs岩貞、さて軍配は?

秋山投手は「松中さんやカニザレスという、1軍でも中軸を打つバッターに打たれた。(3回の)カニザレスのライト前は、それまでいい攻めをしていたので、もったいなかった」と反省の弁。「全体としては、“きわきわ”にいくボールが球が多くて、それがボールになってしまってカウントを作るのがしんどかったです。そうなるとカットボールにも頼ることになってしまうので」

それでも4回で6奪三振。真っすぐがよかった?「ストレートはよかったんじゃないかと思います。早いカウントで凡打を狙いにいったんですけど。3回の1点を取られないように、3回までカットに頼りすぎました。4回はカットを投げるカウントの時に真っすぐで突っ込んでいって、3人で切れたので最初からできていれば」と、どうしても後悔の念が頭から離れない様子でした。

また3回4安打で無失点だった岩貞投手は「前回(25日のオリックス戦)の方がコースをつけていたので、きょうはもったいなかった。腕の振りはいいので続けていきたいです」と話しています。ランナーを出してから粘れたのでは?「出してからもキッチリ丁寧に、つくところはついて投げた。でも、もっとカウント有利なところを作らないといけない。有効な1球で仕留めたいと思いました」

秋山投手のあとで投げた点を「意識していなくはない」と岩貞投手。「やっぱり1軍で投げたいので意識はしていましたけど…」と言葉を濁したのは、互いに微妙な内容だったからかもしれませんね。さて、今回はどちらが昇格するのか。1軍に合流するのは週明けになるそうです。

7月、ノーヒットは1試合だけの中谷

最後に、またマルチヒットで打率.307と上げた中谷選手。ソフトバンクの上林選手が規定打席に到達し、首位打者の座を明け渡してからも、ズルズル下がってしまうことなく来ています。7月は13試合に出場して、そのうち12試合でヒットを放ちました。ヒットがなかったのは9日の広島戦(由宇)だけですが、この試合は4打席4四球だったんですよ。それ以外の全試合で打っているわけで、今は10試合連続安打中。しかも最近5試合は2安打、1安打(3ラン)、3安打、2安打、2安打と絶好調です!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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