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源泉かけ流しばかり!「外湯が充実した東北の温泉地」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

「よい温泉地の条件とは?」という質問に対してはさまざまな答えがあるが、筆者は次のように答えることが多い。

「外湯(共同浴場)が充実していること」。多くの場合、外湯は温泉地が形成される初期の段階から存在する。温泉が発見され、その源泉の近くに湯船がつくられ、地元の人が入りにくる。そのうち、その湯船を中心に街が形成され、まわりには旅人を受け入れる旅館が誕生する。これが温泉街の形成の一般的なプロセスである。そういう意味では、外湯(共同浴場)は温泉街の原点といえる。

したがって、共同浴場は温泉街のシンボルであり、地元の人に大事にされている。源泉も近いので湯の質もよい、というのが相場だ。だからこそ、外湯が充実している温泉地は信頼できる。

特に東北は昔ながらの共同浴場が大切にされているエリアだ。

そこで、外湯が充実している東北の温泉地を5カ所紹介したい。

湯田川温泉(山形県)

田園地帯に8軒の温泉宿と2つの共同浴場が軒を連ねる小さな温泉地。源泉が豊富なことでも知られ、「源泉かけ流し宣言」をしている。もちろん、すべての宿が源泉かけ流し。小規模な旅館ばかりだが、リーズナブルに泊まれる宿もある。作家・藤沢周平ゆかりの温泉地で、小説を読みながら旅館に缶詰めになってみるのも楽しい。共同浴場の正面湯は、小さな湯船に大量の透明湯が絶えず注がれ、オーバーフローしている。

飯坂温泉(福島県)

福島市内の温泉街で、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の途中に立ち寄った歴史をもつ。「鯖湖湯」や「波来湯」をはじめ共同浴場が充実しているのが魅力で、共同浴場をいくつか巡りながら、温泉街を散策するもの楽しい。源泉の温度が高めなので、総じて熱めの湯だが、シャキッと心身が引き締まる感覚が気持ちいい。

肘折温泉(山形県)

山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。リーズナブルに宿泊できる宿が多いので、連泊でプチ湯治体験を楽しみたい。共同浴場はいくつかあるが、なかでも「上の湯」は湯治客が通うシンボル的存在。お地蔵様に見守られながら入浴できる、ありがたい湯だ。

木賊温泉・湯の花温泉(福島県)

奥会津にある鄙びた温泉地。周囲は昔話に出てくるような景色が続く。木賊温泉、湯の花温泉には昔ながらの共同浴場が充実しているが、とくに木賊温泉の「岩風呂」は、温泉が湧出する川床を利用した湯船で、足元から湧き出す新鮮な湯を楽しむことができる。湯の花温泉の「石湯」は巨大な岩が湯小屋に食い込むようなユニークなつくり。

蔵王温泉(山形県)

標高880メートルに位置する歴史ある温泉地。白布温泉、高湯温泉とともに「奥羽三高湯」のひとつに数えられる。スキーリゾートとしても人気で、春は新緑、夏は避暑地、秋は紅葉、冬は樹氷が楽しめる。温泉街には小さな民宿、ペンションから温泉旅館まで100軒ほどの宿泊施設があり、ニーズや予算に合った宿を選べる。3つある共同浴場はもちろん、ほとんどの施設が源泉かけ流し。なかでも川原湯共同浴場は足元湧出で、鮮度抜群の名湯だ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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