2020年が史上もっとも高温になる確率75%、アメリカ海洋大気庁
空気がきれいになったインド北部では、いま30年ぶりにヒマラヤ山脈を眺めることができるのだそうです。経済活動の停止で、大気汚染レベルが劇的に改善したり、二酸化炭素の排出量が減少したりといったニュースが、あちらこちらから聞こえてきます。
しかし、これまで続いてきた温暖化の進行は、そう簡単には止まりません。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2020年が75%の確率で、観測史上もっとも高温の年になるおそれがあると発表しました。
他の機関も同様の予測を公表しています。たとえばイギリス気象庁は50%の確率、アメリカ航空宇宙局(NASA)は60%の確率で、観測史上もっとも暖かい年になると発表しているのです
これまでの高温記録
それでは、今年1月から現在までの高温記録を、月別で見てみましょう。
【2020年1月】
- 地球全体は、観測史上もっとも高温の1月
- ロシアで例年の1月の平均気温を5.0℃も上回る高温
- 欧州、南米、カリブ海地域、ハワイなどで史上2番目に暖かい1月
- メキシコ・ビンセンテゲレーロで、北米の1月の最高気温記録42.0℃
- キリバスのボンリキで北半球の1月の最低気温の最高記録29.1℃
【2020年2月】
- 地球全体は、観測史上2番目に高温の2月
- ロシアで2月の国内観測史上最高気温28.2℃
- モスクワの冬(12~2月)は、例年の平均を6.3℃も上回り、史上もっとも暖かい冬
- 南極・エスペランサ基地で、南極大陸の観測史上最高気温18.4℃
- 南極・マランビオ基地で2月の最低気温の最高記録7.6℃
- アフリカのマリ共和国・Yelimaneで、北半球の2月の最高気温記録32.0℃
- コロンビア・エルサレンで、国内観測史上最高気温42.6℃
【2020年3月】
- 地球全体は、観測史上2番目に高温の3月
- 南米全体で史上もっとも高温の3月
- カリブ海地域で史上2番目に高温の3月
- アルゼンチンで3月の平均気温を2.5℃上回り、史上もっとも高温の3月
- モスクワで史上2番目に高温の3月
- 香港の平均気温が21.3℃となり、史上2番目に高温の3月
熱波が襲う4月
4月の記録はまもなく発表されるかと思いますが、これまで目を疑うような高温が世界中で報告されています。
たとえば、ヨーロッパ、メキシコ、アメリカなどではこの時期の気温を10℃以上上回るような大熱波が襲いました。
さらに30日には、中国北部のトルファンで41.8℃、モンゴルのHadatynで33.8℃と、4月の最高気温の記録を更新しました。
エルニーニョなしでも…
これまでで最も暑かった年は、2016年です。しかしこの年は、高温が約束された年でした。なぜかというと、史上最大規模のエルニーニョが起きていたためです。エルニーニョの年は海水温が上昇するために、地球全体の温度が高温になりやすいのです。一方、今年はこれまでエルニーニョが発生していません。
いよいよ5月が始まりましたが、今月はどのような高温記録が生まれてしまうのでしょうか。
【参考文献】