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阪神OB会から表彰された原口選手と高山選手 / 若手OBたちも出席《11/26》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
甲子園の秋季練習での金本監督(右)と原口選手。来年はCSの最中でありますように!

きのう26日、大阪市内のホテルで『阪神タイガースOB会』の総会と懇親会があり、6年ぶりに懇親会の取材をしてきました。前は、1年目で4勝を挙げた秋山拓巳投手と、4年ぶりにリーグ優勝を果たしたファームから野原将志選手と横山龍之介投手が特別表彰を受けた2010年。それ以降ご無沙汰で、今回は原口文仁選手と高山俊選手が表彰されるため伺ったわけです。

例年通り17時から総会、18時からは懇親会というスケジュールですが、きのうは総会の後、5月30日に亡くなった後藤次男氏を偲んで献花式も行われています。黄色と、濃い色の花で縞模様を表わした祭壇にはユニホーム姿の後藤さんの写真がありました。よく自転車で鳴尾浜の試合を見に来られていた、にこやかな表情が忘れられません。どうか、いつまでもタイガースを見守っていてください。

OB会から『敢闘賞』を贈られた2人

同伴のご家族を除いて130人という関係者が出席し、予定の18時少し前から始まった『第45回OB総会懇親会』は、まず川藤幸三OB会長、四藤慶一郎社長、金本知憲監督が挨拶。続いてOB会による特別表彰があり、今季で現役を引退した福原ファーム育成コーチが「特別功労賞」、原口選手と高山選手は「敢闘賞」を受賞。川藤OB会長から記念の盾と副賞を手渡されました。

ここで、現役2選手のお礼の言葉をご紹介しておきましょう。先に高山選手です。

「こんばんは。本日はこのような会で、このような賞をいただき、ありがとうございます。僕自身、1年目として何もわからないところからのシーズンでしたが、OBの方をはじめ、いろんな方にいろんなことを教えていただき、1年間やりきることができました。チームは4位という悔しい結果に終わってしまったので来年は優勝できるように、また個人的にはレギュラーに少しでも近づいていけるように頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました」

ついで原口選手がマイクの前に立って挨拶。「こんばんは。本日はこのような素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。ことしの経験を必ず来季に生かして、チームの勝利に数多く貢献できるように頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」

そのあと小山正明さんの発声で乾杯となり、取材陣は会場の外へ。途中で退席する原口選手と高山選手を取材しようと待っていたら、あちこちに頭を下げて、出口付近に来てもなお声をかけられ直立不動の2人の姿が見えました。そんな2人のコメントです。

選手会役員も任される2年目

高山選手は「高校、大学も伝統あるところから、またタイガースという伝統あるところに入れてもらって、OBのおかげで伝統あるチームになっていると思うので、お会いできて勉強になりました」と、歴史あるチームのOB会で表彰もされたことに感激の様子。

10月の秋季練習でティーバッティング中の高山選手。
10月の秋季練習でティーバッティング中の高山選手。

「多くのOBの方がいらしていて『ことし1年間、お疲れ様』とか『来年も頑張ってくれ』という言葉をいただきました。OBの方と違って自分は1年しかやっていなくて、これからまだまだやっていかないといけない立場だと思うので、来年からもっと気を引き締めて頑張ろうと思いました」と決意表明しています。

明治大学の先輩でもある星野仙一さんとは?「挨拶させていただきました。体に気をつけてと言っていただいたので、頑張りたいです」。2年目に向けて「交流戦の時には全然打てなくなったし、左ピッチャーをまったく打てない時期もあったから、そういうところを克服してスタメンで出られる選手になりたい」とのこと。

また、この日は阪神タイガース選手会の来季役員(選手会長・狩野選手、副会長・梅野選手、役員・中谷選手、高山選手、藤浪選手)が発表され、2年目で役員を任された高山選手は「1年やっただけなので自分のことで精一杯ですけど、少しでも力になれればいいと思います」と抱負を語りました。

OB陣に圧倒されて緊張しっぱなし

原口選手は外に出てから少し笑顔がこぼれたものの、おそらく会場内ではガチガチだったと思われます。初めてのOB総会の懇親会はどんな感じだったのかな?と話しかけてみたけど「それが…あんまり覚えていないんですよ」と困惑気味で「緊張した」を繰り返すばかり。

田淵幸一氏から「キャッチャーかファーストか、どっちがやりたいんや?」という質問があったそうで、それについては「もちろんキャッチャーです。同じことを、きょう会う人みんなに聞かれました(苦笑)。はい、キャッチャーと答えています」と原口選手。そこはちゃんと記憶にあったようで何よりです。

打撃はもちろん、キャッチャーとしてチームに貢献したいという原口選手。
打撃はもちろん、キャッチャーとしてチームに貢献したいという原口選手。

また「バットでアピールしろ。俺もそれで頑張ったから」という言葉も田淵さんから送られたことは「そうですね。バットでアピールしつつ、守備の方でも力になれるように頑張ります」とコメント。田淵さんとは?「シーズン中に一度お会いしました。すごい方ですね」

他にはどんな話をしたかと尋ねても「…覚えてないです。めっちゃ緊張していました。星野さんがずっと隣にいたし」と小さな声で答えます。なるほど。田淵さんには一度会っているけど星野さんとは初対面。心の中で「わー!星野さんやーっ!」という状態だったみたいですよ(笑)。「会う人、会う人が初めての方ばかり」で、緊張が解ける間もなかったでしょう。

そんな会合に呼ばれて、原口選手は「伝統のある球団でOBの皆さんもすごい方ばかりなので、少しでも近づけるよう気を引き締めて頑張ります」と、誓いを新たにしていました。

金本監督、“挑む”2年目

懇親会に出席した金本監督は冒頭の挨拶で「OBの皆さんにアドバイスをしていただきたい」と話し、それについて退席時の囲み取材でこんなふうに説明しています。

「選手というのは、ちょっとした言葉でイメージが湧いてきて良くなることがあると思うので、どんどん言ってもらえたら。選手も、そのイメージで試してみてよかったら続ければいい。目指すところは一緒だしね、通るとこが違っても。片岡コーチや監督が言っていたのと同じだと再確認することが大事。どんどん力を貸してもらっていいと思うし、お願いしますという感じですね」

星野仙一さんの「超変革は、道半ば」というゲキに「応援してくれているのは僕にとってもすごく心強い。1年生だから。48歳で1年生。星野さんは40歳くらいで監督で、41歳に優勝でしょ?すごいね。エネルギーがほしい」と少し笑顔も交えて話しています。

また挨拶の中で「生え抜きの選手を育てていく方針は変わらない」ということを述べていて「いつも言うように僕は外様ですが、やっぱりプロ野球のあるべき姿は生え抜き。自前で取ってきて調理して、一品料理としてお客さんに出す。そして最高の料亭にするというね。調理するのは僕たちです」と、料理に例えました。

今季は若手が多く出場しましたが「ことしの夏くらいから、(若手選手に)少ないチャンスをどう生かしていくか、お前たちもどんどんチャンスは減ってくるよと言っている。来年は同じチャンス、もうないよってね」と金本監督。ことし羽ばたいた選手も、チャンスをつかめなかった選手も、既に新しいスタートを迎えました。来季のスローガンは『挑む』です。 

若手OBたちも参加

最後に、ここ何年かは若いOBの出席も増えつつあると聞いていたので、楽しみにしていたのが懐かしい顔との再会。ことしもいろんな人に会えました。そうそう!加藤康介さんにも来られて、原口選手と少し話をしていましたよ。そんな方々の中で、一緒に引き上げるところを記念撮影させていただいた皆さんをご紹介します。名前の漢字は入団時のものです。

右から宮内仁一さん、井上貴朗さん親子、橋本大祐さん親子、大石昌義さん。
右から宮内仁一さん、井上貴朗さん親子、橋本大祐さん親子、大石昌義さん。

写真の右から

宮内仁一さん(49) 外野手。1985年のドラフト4位で池田高校から入団。同期は遠山昭治投手、中野佐資選手、服部裕昭投手、吉田康夫選手。在籍期間が1986年~1994年。現在は野球塾を主宰。

井上貴朗さん(41) 投手。1993年のドラフト5位で佐倉高校から入団。同期は藪恵一投手、平尾博司選手、高波文一選手、中里鉄也選手。在籍が1994年~2001年。その後、ロッテで2003年までプレー、2004年~2007年は巨人の打撃投手。現在は会社員。

◆井上さんの娘さん・怜香(りょうか)ちゃん。小学6年生。

橋本大祐さん(41) 投手。1997年のドラフト3位で富士大学から入団。同期は中谷仁選手、井川慶投手、坪井智哉選手、山岡洋之投手、奥村武博投手。1998年から2000年に在籍。現在は整骨院院長。

◆橋本さんの息子さん・旺祐(おうすけ)くん。中学2年生。

大石昌義さん(44歳) 投手、外野手。鳴尾高校を卒業後、1991年のドラフト8位で広島に入団。1994年~1996年在籍(1997年~2001年は打撃投手)。1994年に打撃投手として阪神へ。その年の6月に現役復帰し、1996年には外野手登録。現在は会社員。

今も“野球”でつながっています!

年賀状のやり取りが続いている井上さんとは、ことし1月に安達智次郎さんが亡くなり、お通夜で久しぶりに会って以来でした。これまでもOB総会には出席していて、ことしは娘さんと参加。昔と変わらずイケメンで、怜香ちゃんは小6ながら162センチの身長、モデルさんみたいです。全身写真でなくて残念。

かっこいいパパは自慢?と聞くと、怜香ちゃんは微笑みながら静かに首を振りました。井上さんは「全然ダメですよ。気持ち悪いって言われる」と笑っていますが、写真のポーズはやっぱり親子ですね。

一方、初めて出席したという橋本さん。私も退団以来初ですが、今はfacebookなどで近況がわかるし記事も読んでくれているようで、すぐわかってもらえました。微妙に在籍時期が重なっていない人もいる4人がずっと一緒にいたので聞いてみたら、橋本さんの息子・旺祐くんは今、宮内さんが監督を務めるボーイズリーグのチームに入っているとか。なるほど。

そこのチームで大石さん、井上さん、そして橋本さんもコーチをしています。また宮内さんの野球塾でも教わっているそうです。旺祐くんのポジションはキャッチャー。すると…数年後に阪神に指名されるかも?本人は照れて笑っていましたが、可能性はありますよ。

ところが井上さんは「いずれはピッチャーにしますよ。僕が教えていますから」と言い、橋本さんはニヤニヤ。バッティングは?「問題はそこですね」。でも宮内さんは「バッティングも楽しみにしといてください!」と自信ありげでした。さて、どう着地するのか。いずれにしても、お父さんたちの夢が広がる希望の星ですね。

橋本さんは今回、宮内さんの誘いでOB総会に初参加したと言っていました。このメンバー(未成年は除く)と、総会はマメに出席している吉田浩さんを加えた若手OB軍団は、2次会でさらに親交を深めたとか。来年また元気な顔で会えるのを楽しみにしています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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