北朝鮮で建国以来最悪の洪水発生 近年多発する自然災害
北朝鮮北東部で、大雨による被害が発生し、これまでに133人が死亡、395人が行方不明となり、10万人以上が避難を余儀なくされています。
(情報:NHKニュース)
雨の原因
大雨の原因は、二つあります。まず、8月29日から30日にかけて、上空に寒気を伴った低気圧が居座っていたこと。そして、続けて31日には、岩手県を直撃した台風10号から変わった温帯低気圧が北朝鮮付近に到達し、豪雨をもたらしたことです。
4日間で降った雨の量は、8月と9月の二月分の降水量に匹敵する、300ミリ超となりました。こうして一気に降った雨により、中国との国境を流れる豆満江(トゥマンガン)が氾濫、北朝鮮建国以来の最悪の自然災害となっているのです。
近年の自然災害
北朝鮮では、近年自然災害が増加しているようです。
例えば、去年8月には、台風15号から変わった低気圧により、北東部のラソン経済特区で洪水が発生、少なくとも40人が死亡しました。さらに2012年にも、台風カーヌンによる豪雨により、170人の死亡者がでています。
一方で、記録的な干ばつに見舞われることも多くなり、例えば去年春には、50年で最悪とも言われる干ばつが起こった他、1994年から98年には、長く続いた少雨により、数十万人が飢餓で命を落としたと伝えられています。
気候変動の影響を受ける北朝鮮
韓国気象局によると、気候変動は大陸で多くの変化が出やすく、高緯度になるほどその変化が大きくなる傾向にあるといいます。そのため北朝鮮は、その影響を受けやすいのだといいます。
実際、北朝鮮の気象局によると、ここ100年の間に国内の年間平均気温が1.9度、特に北部では3度も上昇しているということで、こうした変化が極端な気象現象が発生させ、食糧難により国民を飢餓に追い込む一因となっているのです。
天気予報を重視
北朝鮮は、「パリ協定」(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)を批准しているように、温暖化や環境問題の脅威を感じていることは事実でしょう。実際2014年には、金正恩氏が気象当局を自ら訪れ、天気予報が当たらないことに対し、強く叱責をしたというニュースも報道されました。
さらに、天気予報へのテコ入れの一環でしょうか、最近気象局の建物を、平壌の未来科学通りに移し、気象分野の拡大に力を入れ始めているともいいます。
いずれにしろ、北朝鮮の気象災害による経済的疲弊は、さらなる政情不安となり、極東の政治状況を複雑にする可能性もあります。