激戦のライト級で最強ロペスと互角に戦った中谷正義が注目の復帰戦へ
第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義(31)が、井岡ボクシングジムから帝拳ボクシングジムへ移籍し再起を表明した。
中谷は12日(日本時間13日)アメリカでフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)とのWBOインターコンチネンタル・ライト級王座決定戦に臨む。前回の試合から1年半ぶりの試合となる。
ライト級最強のロペスと互角に戦った中谷
中谷は昨年7月にテオフィモ・ロペス(アメリカ)とIBFライト級王座挑戦者決定戦で戦った。
試合では、長身でリーチの勝る中谷が無敗でKO率8割を超えるロペスの強打を完封し、互角の戦いを見せた。
判定までもつれ込み3-0で中谷が破れたが、SNSではドローだったとの声があったほど拮抗していた。
ワシル・ロマチェンコに勝利し、ライト級で全てのベルトを持つ最強王者ロペスが、もっとも苦戦した試合だろう。
中谷はその試合を最後に引退を表明したが、今回帝拳ジムで現役復帰を表明した。
帝拳ジムで再起
帝拳ジムは数多くの世界王者を輩出している名門ジムだ。私も現役の時代に所属していたが、サポート体制は日本でトップクラスだろう。
トレーナーも一流で、トップボクサーが集まる環境は刺激になり、練習相手も豊富にいる。
帝拳ジムにいたから世界王者になれたと言っても過言ではない。
世界王者クラスの選手が数多く在籍し、練習環境も充実している。
海外から選手が練習に来ることも多く、世界トップクラス選手を身近に感じられる環境でもあった。
その甲斐あってか、村田諒太をはじめ、西岡利晃、三浦隆司など、海外で活躍した選手も多い。
加えて、中量級には元3階級王者のホルヘ・リナレスや、尾川堅一なども在籍しているためスパーリングの相手には困らないだろう。
中谷も自身のSNSで、「最高の環境ありがとうございました」と充実ぶりを載せている。
激戦のライト級で戦い抜くのにもってこいの環境だ。
中谷のボクシング
中谷は身長182cm(リーチ182cm)とライト級では長身の選手だ。
得意な間合いを武器に東洋のタイトルを12回防衛していて、前回のロペス戦では、世界のトップと戦える実力を示した。
次戦の相手フェリックス・ベルデホは、プエルトリコ期待のボクサーだ。
ロンドン五輪ライト級(60kg)に出場しベスト8まで上り詰め、金メダルをとったワシル・ロマチェンコに敗れている。
パワフルなパンチを持ち、プエルトリコの英雄ミゲールコットの再来とも言われる選手だ。
次世代のスター候補として期待されたが、2018年に初黒星を喫してからキャリアを足踏みしている。
ベルデホにとってもロペスと互角に戦った中谷との試合は、再浮上するチャンスだろう。
盛り上がる中量級
この階級は4団体のベルトを持つロペスを中心に大きな盛り上がりを見せる。
WBAスーパー、WBCフランチャイズ、IBF、WBO テオフィモ・ロペス(アメリカ)
WBAレギュラー ガーボンタ・デービス(アメリカ)
WBC デヴィン・ヘイニー(アメリカ)
アメリカの選手が王座を独占している。
他にも、期待の新星ライアン・ガルシア(アメリカ)、元3階級王者のホルヘ・リナレス、元3冠王者のワシル・ロマチェンコも健在だ。
ひとつの団体に複数の王者がおり、全階級でもっともタレント揃いの階級だ。
復帰した中谷も今回の試合に勝利して、激戦のライト級戦線に加わってほしい。
中谷は以前ライバルのロペスとロマチェンコの試合に対して、
「僕に勝ったロペスが4団体戦をやるので、複雑な気持ちはありますが楽しみです」と話していた。
互角に戦ったロペスが4つのベルトを手にしたことで大いに刺激を受けただろう。
12月12日(日本時間13日)中谷の復帰戦に注目だ。