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フードライターの食から読み解く「外食」に何が起きているか。【4月】人材不足と物件不足。個人飲食店の今

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト

2024.03.29 新潟日報

西堀ローサ退店期限まで1年 本社がテナント聞き取り調査 半数超が古町移転希望 物件探し難航 運営会社・市に不満も 

【要約】新潟市中央区の地下商店街「西堀ローサ」では、運営する市の第三セクター解散と市有化もあり、2025年3月末を期限として全テナントに退店が要求されている。

新潟日報社の聞き取り調査では全体の約半数の店舗が同じ古町地区への移転を希望しているが、物件不足や高い家賃が課題となって移転先探しもままならず、そのほとんどが来年以降については未定。全25店舗7店は閉店を決定したという。

人口減、人流変化、テナント老朽化、再開発

西堀ローサは1976年に開業した地下商店街です。最盛期には年間50億円を売り上げたものの、開業から約50年が経過して人の流れが変わり、周辺の百貨店やファッションビルも次々に閉店を余儀なくされました。西堀ローサのみならず、このエリアの利用客自体が減ったという背景もあったようです。

この数年、飲食店はコロナ禍に悩まされてきました。給付金や補助金制度のおかげで、先行きの見えなかった2020年、2021年は動きがさほどなかったものの、コロナ明けが現実化してきた2022年からは開店や閉店含めて、一気に物件市場が流動化し始めました。

きらびやかな新築物件は森ビルのヒルズ案件をはじめ、各ディベロッパーが様々な形で箱物を立ち上げ、その目玉としてフードコートや飲食店街を据えるという戦術が定番化してきています。

個人店は悩ましい状況に置かれています。再開発などで物件が大規模商業施設に集約され、従来個人店が出店してきた街場の手頃な物件が日に日に手薄になっていて、飲食店向けの空きテナントもものすごい高倍率になっています。

物件不足の影響は大きく、技術や資金の算段がついているのに出店が決まらないケースや、既存店でも再開発に伴う立ち退き等で移転先が決まらず、閉店を余儀なくされるケースをそこかしこで耳にします。

一方で店歴が浅くとも、シェフの才覚や技術に見合っていれば、連日押すな押すなのにぎわいとなる店も少なくありません。「出店すればいい」というものではありませんが、一方で客の舌にさらされることがまず一歩目でもある。

ここからは、今月の外食の現場ではそうした印象が強く感じられた飲食店をピックアップします。

(以下に23店についての記述と37枚の画像)

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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