「映画大好きポンポさん」のすごさとは、その製作の継続力であり、それがまだ止まっていないことである
劇場版「映画大好きポンポさん」が無事にヒット作となり、7月2日から上映館の拡大がアナウンスされています。評価されるべき作品が、ちゃんと評価されて、コロナ禍ではあるものの目に触れる機会が増えていることを素直によろこびたいと思います。
▼映画大好きポンポさん・上映劇場一覧
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=pompothecinephile
これにはいくつか理由がありますが、中でも大きいのは、この「映画大好きポンポさん」という作品は、その成り立ちとテーマの関係で、できれば映画館で見て欲しい作品だからです。
映画をメタ目線で語るのは、いい部分も悪い部分もあるのですが、このポンポさんに関しては、どうしてもそこは外せません。
そもそも、この劇場版「映画大好きポンポさん」というのは、いわゆるヒット作の通常ルートをたどっていません。
- 原案は没になった5分アニメのための企画
- 原作マンガはpixivの投稿
- 人気作となりコミックス単行本や続編も誕生
- 劇場版アニメに
そう、ポンポさんという作品は期待されていないところからスタートしています。そもそもの原作マンガがそうですし、映画も少ない上映館からはじまって、徐々に広がっていっています。
つまり、これはこの作品テーマともリンクしているのですが、最初は評価されなくても、いつか誰かが見つけてくれることを信じてやめずにやっていこうということを体現しているのが「映画大好きポンポさん」という作品なのです。
そして、それは表現の場所をマンガから劇場アニメ変えても有効なんだということを、またしても体現して見せたのが、この作品の持つすごさです。
映画そのものについての評価はここではあまり語りませんが、「映画大好きポンポさん」という原作で映画を製作することには、正直制約が多すぎます。
- 映画を作るということをマンガで描くのも大変なのに、それを映画で描くというむずかしさ
- マンガとはいえ、かなり荒唐無稽な設定
- オチがすでに決まっているため、上映時間に制約がある
中でも最高に困難なのが、最後の上映時間で、やれ三部作とかNetflixなら全8話とかが普通になってきている中での、一発勝負90分です。しかも、実際の映画を見ればわかりますが、この上映時間は、89分でも91分でもダメなことまで確定しているという製作の条件なのです。
でも、この映画は、その制約に対して大勝利をおさめました。だから、上映館が広がっているわけです。そして、映画を見れば、この映画を映画館で見る意味も、心にぐっとくるはずです。
そして、このポンポさんという作品のすごさは、ここでもまだ終わらず、さらに先にいくところにあります。それが、公開されたCIELが唄う「映画大好きポンポさん」の主題歌「窓を開けて」のMVに結実しています。
ポンポさんの監督である平尾隆之さんの手によるこのMV。このMV自身が、またひとつの小さな物語、いやポンポさんのサイドストーリーであるかのような内容になっています。
なにしろ、ここで描かれているのは、CIELさんが主題歌を唄ってデビューするまでの物語。つまり、ポンポさんの作品同様に、この歌を唄うCIELさんもまた見つけられた人なのです。
- 神椿スタジオのオーディションに参加
- デビュー前に平尾監督に抜擢され、この主題歌でデビュー
そして、実はこの映画は、平尾監督の復活作でもあったことは、いくつかのインタビューでもすでに語られていることです。でも、そうじゃないと、主題歌MVまで映画の監督が手がけて、かつタイトルの入り方まで映画と揃えてくるなんてことまでするのは理解できないとも言えますね。
さて、MVだけではなく、ポンポさんによるCIELさんのインタビューまで用意されています。
このインタビューを読んで、ニコニコするためにも、ぜひ上映館の広がった劇場版「映画大好きポンポさん」を映画館で見ることをおすすめします、ぜひどうぞ!
【追記】
主役(声優)のお2人もまた見つけられた人でしたね。この劇中と製作側で発掘の車輪がぐるぐると回っているのを味わうのも、ポンポさんという作品の醍醐味です。