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【祝デビュー戦本塁打】不振のホークスに新風を!一軍未出場で6年目の谷川原健太が昇格した理由

田尻耕太郎スポーツライター
一軍合流して練習する谷川原(右)。「鬼肩」発動なるか。左は栗原。(筆者撮影)

 福岡ソフトバンクホークスは19日、6年目の谷川原健太(たにがわら・けんた)捕手を出場選手登録した。

 谷川原は3年目だった2018年9月に一軍登録されているが出場はなく、今回は悲願の一軍デビューを果たせるか注目となる。

ファーム直近10試合で打率.393

 今季ここまでウエスタン・リーグでは44試合に出場。打率.260、3本塁打、15打点、3盗塁の成績を残している。この数字に派手さはないものの、ここ最近の調子はうなぎのぼりだ。現在5試合連続安打中。また、直近10試合の成績でも28打数11安打7打点2盗塁、この間の打率.393をマークしている。

二軍戦での谷川原(筆者撮影)
二軍戦での谷川原(筆者撮影)

 打撃の師匠の一人が柳田悠岐だ。1月の自主トレに弟子入りして、今年が3年目だった。今年の佐賀・嬉野自主トレは「今までの中でも特に充実感があった」と振り返っていた。そして「強い打球を打つ」ことをテーマにしてバットを振り込み、「今までのスイングでは弱い部分があった。柳田さんからは『体が開いている。だから、スイングした後に体が流れて足が動く』と言われたので、振り切った後もその場から足がズレないように心掛けて練習しました。両足で地面をかむ感覚。あとはゴロを打たずに、出来るだけ遠くに飛ばすことだけを考えました」と話していた。

「どこでも守れる」大きな武器

 また、谷川原といえば「投手以外はどこでも守れる」という複数ポジションを守れるのが大きな武器だ。

 今季ウエスタン・リーグでも本職の捕手で18試合にマスクを被ったほか、外野手で17試合、二塁手で4試合に出場している。昨季は三軍でショートを守った時期もあった。

 すでに一部で大注目を集めているのが強肩、いや鬼肩だ。4月の二軍戦でライトを守っていた谷川原はほぼ定位置に飛んできたゴロを捕球して、サードへ光のようなノーバウンドのストライク送球をして三進を狙った一塁走者を完ぺきに刺した。超がつくほどのビッグプレーだった。

 さらに、捕手としても今季3月のオープン戦は出場しており、巨人の俊足ランナーの増田大の二盗を阻止した場面もあった。

工藤監督「今、状態が良い」

 19日の日本ハム戦の前に取材対応した工藤公康監督は「今、状態が良い。上がったらすぐ使ってあげるのがいいのかなと思っています。チームの力になってくれれば」と起用する方針を明かした。

 ソフトバンクは現在4連敗中で、打線の低迷が深刻だ。いよいよ6年目でデビュー濃厚となった若鷹が新風を巻き起こしてチームの起爆剤となれるか。

 また、ソフトバンクでは昨季ブレイクを果たして、東京五輪日本代表までのし上がった栗原陵矢が、やはり捕手が本職ながら内・外野手として出番を増やしてスターダムの道を進んだ。そのレールにも乗りたいところだ。

谷川原のファーム直近10試合

6月13日 対阪神(甲子園) 「1番ライト」4打数2安打

6月12日 対阪神(甲子園) 「1番レフト」5打数2安打2打点

6月11日 対阪神(甲子園) 「代打」1打数1安打

6月10日 対中日(タマスタ筑後) 「5番レフト」3打数1安打

6月9日 対中日(タマスタ筑後) 「5番キャッチャー」2打数1安打(1盗塁)

6月8日 対中日(タマスタ筑後) 「代打→レフト」 1打数0安打

6月6日 対オリックス(オセアンBS) 「3番レフト」3打数0安打

6月5日 対オリックス(オセアンBS) 「代打→ライト」1打数1安打1打点

5月30日 対広島(タマスタ筑後) 「6番指名打者」4打数0安打

5月29日 対広島(タマスタ筑後) 「6番ライト」4打数3安打4打点(1盗塁)

<追記>

 19日の日本ハム戦(PayPayドーム)、「7番レフト」で先発出場して一軍デビューを飾った。

 第1打席は二ゴロに倒れたが、0-0で迎えた五回の第2打席。日本ハム立野の128キロのスライダーを捉えると、打球はぐんぐん伸びてライトスタンドに突き刺さった。

 プロ初出場初スタメンの試合で、プロ初安打、プロ初本塁打をマークした。笑顔でダイヤモンドを一周。ベンチに戻ると先輩らチームメイトはお祭り騒ぎ。”師匠”の柳田悠岐も満面の笑顔を浮かべて、殊勲の谷川原を迎えていた。

 谷川原は「打ったのはスライダー。1打席目凡退してしまったので、次は絶対打ってやる、という気持ちで打ちました。マルティネスが抑えている中で、先制することが出来て良かったです。プロ初ヒットがホームランと最高の形になって素直に嬉しい。この後も勝ちに貢献できるように頑張っていきます」と広報を通してコメントを寄せた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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