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大谷を含む「6人ローテーション」の一方で「4人ローテーション」を導入する球団も

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・アーチャー(タンパベイ・レイズ)Feb 26, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在のメジャーリーグでは「5人ローテーション」が一般的だ。例えば、ニューヨーク・ヤンキースは、開幕からルイス・セベリーノ田中将大CC・サバシアソニー・グレイジョーダン・モンゴメリーの順に、5人を先発マウンドに上げる。

 そのなかで、大谷翔平と契約したロサンゼルス・エンジェルスは「6人ローテーション」を計画する。テキサス・レンジャーズやニューヨーク・メッツなども、実現はしなさそうだが、導入を検討していた。この構想は数年前に浮上し、広がり始めた。APのベン・ウォーカーは、2015年に「6人ローテーションはMLBの未来?」と題した記事を発表した。

 一方、「4人ローテーション」でシーズンに臨もうとする球団もある。ミネソタ・ツインズの場合は、故障で出遅れるアービン・サンタナが復帰するまでの措置だが、タンパベイ・レイズは違う。うまくいけば、シーズンを通して実施するつもりのようだ。レイズからは、アレックス・カッブジェイク・オドリッジが、それぞれFAとトレードでいなくなった。また、若手のブレント・ハニーウェルホゼ・デレオンは、今春に相次いでトミー・ジョン手術を受け、シーズンを全休する。カッブはFAのままだが、レイズに再契約する気はないらしい(というよりは、資金がない)。

 レイズが導入するのは、「5人ローテーション」が主流となる前の「4人ローテーション」ではない。クリス・アーチャーブレイク・スネルネイサン・イオバルディジェイコブ・ファリアの4人には、中4日かそれ以上の間隔で投げさせる。そして、5人目が必要な試合では、ブルペンにいる投手かマイナーリーグから昇格させた投手を起用する。

 リリーフ投手を先発登板させる場合は、2~3イニングを投げさせ、2番手以降も同様とする。目安としては、3~4人の継投だ。ミルウォーキー・ブルワーズは昨年9月15日の試合で、それまで263登板ともリリーフだったジェレミー・ジェフレスを先発させ、彼を含めて8人の投手を起用したが、これはロースター枠が40人に拡大していたからできたことだ。7月末までのロースター枠は25人。ブルペンにいるのは7~8人なので、総動員しては翌日以降の試合に支障が出る。

 マイナーリーグから昇格させ、スポットの先発投手として起用する方法は、ダブルヘッダーとなった日のいずれか一方の試合に近い。ただ、ダブルヘッダーが組まれた時はロースター枠が25人から26人に増えるが、通常の試合では25人のままだ。誰かを昇格させる際は、入れ替わりに誰かを降格させなければならない。マイナーリーグ・オプションのない選手を降格させるにはウェーバーを経由する必要があり、その際、他球団に獲得される可能性が生じる。

「4人ローテーション」の鍵を握るのは、ブルペンにいる投手のなかでもマルチ・イニングを投げられる、マット・アンドリースオースティン・プルーイットか。昨シーズン、アンドリースはメジャーリーグの18登板中17試合、プルーイットは30登板中8試合に先発した。

 仮に、アーチャーら4人が中4日かそれ以上の間隔で投げ、4人の順番はずっと変わらない(後半戦は再び1番手からスタート)とすると、彼らが33~35登板する他に、26試合で「5人目の先発投手」が必要となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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