球界に見られるCS前調整の変化。宮崎フェニックスLより地元を選ぶワケとは
かつては主力をフェニックスリーグへ
プロ野球に熱気ある日々がやっと帰ってきた。
14日にクライマックスシリーズ・ファーストステージが両リーグとも開幕した。初戦はいずれも2位球団の西武と阪神が勝利して、CSファイナル進出へ王手をかけた。
CSファイナルは18日からスタートする。
リーグ優勝球団のソフトバンク、広島は待ちくたびれる思いだろう。
ソフトバンクは9月16日、広島は同18日に早々とリーグ優勝を決めた。そして今季レギュラーシーズンの最終戦をソフトバンクは10月8日、広島は同1日には戦い終えていた。
ポストシーズンでは毎年のように日程面が問題視をされる。優勝球団は特に“間延び”をしてしまい、試合勘が鈍ることが懸念される。
そのため、以前は、この時期に宮崎県内各地で行われている秋季教育リーグ「フェニックスリーグ」に主力選手を派遣して実戦調整を行うのが、球界の主流だった。
現在でも行う球団はあるが、今季はソフトバンクも広島も宮崎に出向くことはしなかった。
ソフトバンク工藤監督が挙げた7つのデメリット
ポストシーズンの常連といえるソフトバンクは、‘14年まではフェニックスリーグに参戦して実戦調整を行っていた。
しかし、‘15年に工藤公康監督が就任してから取りやめたのである。
その理由について、指揮官はかつて次のように並べていた。
<宮崎に行った場合>
1、天候に左右される
2、CSはナイターからスタートだが、フェニックスリーグはデーゲーム。生活リズムが狂う
3、参戦はほんの数試合。そのために移動をしなければならない
4、寝食ともに慣れない環境で過ごさなければならない
5、インサイドを攻められ、怪我をする可能性も
6、CSを戦うヤフオクドームは人工芝だが、フェニックスリーグの球場は土
7、マウンドの違い
以上7つのデメリットが挙げられた。
天候では、‘14年にホークスは確かに痛い目にあった。
当初は5泊6日で宮崎に滞在し4試合を行うはずが、雨に振り回されて結局たった1試合で帰福した。しかも台風接近に伴い急きょ3日間で宮崎を離れるというドタバタを強いられて調整プランが大きく狂った。
2番目から5番目までは選手のコンディションに配慮したうえでの判断。
インサイド攻めに関しても、2010年に長谷川勇也が巨人辻内崇伸から頭部死球を受けて救急車で運ばれたという事例がある。
そして、マウンドの違い。工藤監督は投手出身ということもあり、この点を結構重視していた。
「まったく違うマウンドで投げることでフォームのバランスを崩すのが心配。野手は確かに試合勘もあるが、特に投手は宮崎に行かずにヤフオクドームで調整したほうがいい。それに、ピッチャーってのはマウンドから見える景色によっても感じ方が変わる。バックネットまでの奥行とかで投げやすかったり、逆だったり。CSを戦うのはヤフオクドームなんだから、ココで調整するのが一番いいでしょ」
ソフトBは紅白戦、広島は社会人と練習試合
ソフトバンクは本拠地ヤフオクドームで紅白戦を行い、実戦勘を失わないように調整を行った。今年は計4試合が組まれた。
また、セ・リーグ王者の広島にすれば、宮崎への移動はソフトバンク以上の負担になる。広島も本拠地マツダスタジアムで調整を行い、こちらは紅白戦ではなく地元社会人チームを招いて試合を行った。
昨年も同様だった。また、昨年パ・リーグを制した日本ハムもまた、宮崎に主力を総動員させることはしなかった。
その中でも、昨年は広島と日本ハムがしっかりとCS突破を決め、‘15年のソフトバンクにしても周囲の不安の声をかき消すように4勝0敗と無傷での日本シリーズ進出を果たした。
今季も地元調整を行ってきたリーグ優勝球団が最後に笑うのか。それとも下剋上のドラマが待っているのか。CSファイナルは18日の水曜日、幕を開ける。