台風12号、三重県上陸後も異例な西進 過去には逆走ハリケーン
29日(日)午前1時頃、台風12号が三重県に上陸しました。上陸時の中心気圧は970hPa、最大風速は秒速35mで、勢力は「強い台風」でした。台風が日本列島に上陸をしたのは、今年初めてのことです。
今後の進路
気象庁によると、29日(日)朝8時現在、台風の中心は岡山市付近にあって、昼には広島県周辺、夜には九州北部へと到達する見込みです。12号は上陸後やや弱まったものの、30日(月)にかけて「台風」の勢力のまま西日本を横断する予想となっています。
今月上旬には記録的豪雨、中旬には記録的熱波が襲った西日本に、再び災害の危険が高まっています。気象庁は警報クラスの大雨、強風、波浪、土砂災害や洪水などが発生する恐れがあるとして、厳重な警戒を呼びかけています。
「異例な」台風
12号は西に進むという珍しい動きをとり、日経新聞では「異例の西進」、読売新聞では「逆走台風」といった言葉が使われるなど、その進路の特異性が取り沙汰されてきました。
通常台風は、日本付近では偏西風に乗って南西方向から進んでくることが多いため、南や西側に海岸線を持つ、鹿児島、高知、和歌山、静岡といった都道府県で台風の上陸数が多くなっています。
逆に、東に海岸線を持つ茨城県や福島県には1951年以降1度も台風が上陸したことはないのです。2年前に岩手県に台風が初めて上陸した際には大きなニュースとなりました。
三重県上陸、史上5つ目
同じように東向きに海岸線を持つ三重県も、台風常襲地帯の静岡県や和歌山県に近いにもかかわらず、台風の上陸例がほとんどありません。
デジタル台風のデータによると、1951年以来では4つほどしか例がなく、これは上陸したすべての台風の0.02%にしかすぎません。今回は12号が逆走をして東から進んできて、三重県史上5つ目の上陸台風となりました。
逆走ハリケーン
ところで、12号のように異例の進路をとって大きな注目を集めたハリケーンがありました。1999年にカリブ海に現れたハリケーン・レニーです。
通常この海域では、東風に乗ってハリケーンは西に進むはずなのですが、レニーは気圧の谷の影響で東へと進み、カリブ海における史上初の逆走ハリケーンとなりました。マスコミは「Wrong Way Hurricane」などとも呼んでいました。
レニーの中心気圧は一時933hPaにまで下がり、17人が死亡、12億ドルもの経済的損失が発生したと伝えられています。カリブ海のリゾート地が、通常台風の直撃を受けない西側に面していたことが、被害拡大の一因となったともいわれています。
12号も前例のないコースをたどることから、これまで台風の被害が出にくかった場所でも影響が出る恐れがあります。
*最新の台風情報は、気象庁のサイトをご覧ください。