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「世界水の日」。子どもたちと「水リテラシー」を考える若手リーダーの研修はじまる

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
使用できる淡水の量を耳で感じる(著者撮影)

 3月22日の「世界水の日」をまえに、次世代の「ウォーター・リテラシー」を考え行動する取り組みがはじまった(主催:「ウォーター・リテラシー・オープン・フォーラム(WLOF)」

 「ウォーター・リテラシー」とは、水についての知識を得るだけでなく、日々の生活に活用するという意味を含む。

 水と人との関わりは、飲み水にはじまり、炊事、洗濯、風呂、トイレなどの生活の水、さらには農業、工業などの生産の水などの恩恵を受けるという面、豪雨などの脅威から自分を守るといった面がある。水不足、水汚染、気候変動による水循環の変化などが懸念されるなか、水について知り、その知識を活用しながら、どう暮らしていくかを考えるのは重要なことだ。

 3月21日、東京農工大学(東京都府中市)に、大学生、大学院生20人が集まった。

 大学生、大学院生のゴールは、8月に予定されている子どもたちとのフィールドワーク・セッション。大学生、大学院生と小学生がバディを組んで水辺を歩き、水への新たな眼差しを獲得する。

水生生物の気持ちになって水を考える(著者撮影)
水生生物の気持ちになって水を考える(著者撮影)

 この日行われた「キックオフセッション」では、東京農工大の佐藤敬一准教授から自然体験活動に活かせる「協同学習法」について学んだのち、「プロジェクトWET」の指導者の資格を取得した。「プロジェクトWET」は、世界66以上の国と地域で活用されている水教育プログラムで、子どもたちが主体的・対話的で深い学びが得られるよう開発されている。参加者は、水生生物の気持ちになって水を考えたり、家族になって災害時に必要なものを考えたり、水になって山を降ったりした。

使用された教材やテキスト(著者撮影)
使用された教材やテキスト(著者撮影)

 参加者は、

「ケーガンの協同学習の手法を学び、参加者同士が協力すること、責任をもつこと、平等であることなどの大切さを体感できた」

「プロジェクトWETのアクティビティで、水の多様性についてあらためて気付かされ、とても楽しい時間だった」

「人間目線だけでなく生物の視点で水を見ることの重要性に気づいた」

「これから水環境について学び、8月には子どもたちと水について考えていきたい」

 などと話した。

参加者は水を意識してブルーを身につけた(筆者撮影)
参加者は水を意識してブルーを身につけた(筆者撮影)

 これから約4か月にわたって探究的・体験的学習や環境教育について学びながら、8月のフィールドワークセッションを計画・実施する。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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