どのシーズンも防御率4.00以上の投手に2105万ドルのクオリファイング・オファーを申し出た理由は…
ボストン・レッドソックスは、FAになったニック・ピベッタに、1年2105万ドルのクオリファイング・オファーを申し出た。
クオリファイング・オファーの仕組みと、今オフに申し出られた13人については、こちらで書いた。
◆「テオがクオリファイング・オファーを受け入れてドジャースに残留する可能性は0%!?」
ピベッタは、来年のバレンタイン・デーに32歳となる先発投手だ。ここ4シーズンとも、140イニング以上を投げている。けれども、通算8シーズンのいずれも、防御率は4.00を下回ったことがない。2024年は、145.2イニングで防御率4.14を記録した。2023年の防御率4.04が最も低く、2017~22年は6シーズンとも防御率4.50以上だった。
クオリファイング・オファーを申し出られた、ピベッタ以外の5投手は、2024年に140イニング以上を投げ、防御率3.95未満を記録している。5人のうち、ニック・マルティネスを除く4人は、2024年以外にもそういうシーズンがある。
ちなみに、マルティネスも、日本プロ野球時代を含めれば、140イニング以上&防御率3.95未満は初めてではない。2018年は北海道日本ハム・ファイターズで防御率3.51(161.2イニング)、2021年は福岡ソフトバンク・ホークスで防御率1.60(140.2イニング)を記録した。
ただ、ピベッタの奪三振率は、ここ2シーズンとも、10.60を超えている。2023年の奪三振率11.54は、140イニング以上の76人中、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)の13.55とブレイク・スネル(当時サンディエゴ・パドレス/現FA)の11.70に次いだ。2024年の奪三振率10.63は、140イニング以上の81人のなかで8番目に高い。与四球率は、2023年が3.15、2024年は2.22だ。レッドソックスがクオリファイング・オファーを申し出た理由は、このあたりにあるのではないだろうか。
ちなみに、2024年に140イニング以上を投げ、奪三振率10.00以上と与四球率4.00未満の14人中12人は、防御率4.00未満を記録した。あとの2人は、防御率4.14のピベッタと防御率4.04の菊池雄星だ。
菊池は、トロント・ブルージェイズとヒューストン・アストロズで計175.2イニングを投げ、奪三振率と与四球率は10.55と2.25。ピベッタと同じく、菊池も今オフのFA市場に出ているが、シーズン途中に移籍したので、クオリファイング・オファーの対象ではない。例えば、ある球団が、他球団からクオリファイング・オファーを申し出られた投手と菊池の2人を同等と看做し、どちらかを迎え入れようとする場合、菊池と契約すれば、ドラフト指名権の喪失などの代償は伴わない。
なお、スネルも、クオリファイング・オファーの対象外だ。こちらは、昨オフに申し出られている。現行のルールでは、クオリファイング・オファーを申し出られるのは1度きり、となっている。