「CL優勝のバイエルンは日本代表が目指す戦い方」、森保監督が語る欧州サッカーの進化
15日、サッカー日本代表の森保一監督がメディア向けにオンライン形式での囲み取材に応じた。日本代表は10月にオランダでカメルーン、コートジボワールとの親善試合を行う予定だが、コロナ禍のイレギュラーな大会方式やレギュレーション中でも着々と進化を続ける欧州サッカーの現状について森保監督に質問した。
まずは8月にバイエルン(ドイツ)の優勝で幕を閉じたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)におけるサッカーの質的変化について、森保監督は「一言で言いますとCL決勝で見た試合、特にバイエルンの戦い方については、われわれが目指すべき戦い方」と感想を述べた。
「対戦したPSG(パリ・サンジェルマン)も同じようにネイマールのような攻撃が中心の選手であっても、本当にハードワークを厭わずにチームのために走って戦うという中で技術を発揮していくことを見せてくれた。バイエルンの方がPSGよりもチームで連携、連動して戦うこと、組織的に戦うという部分、組織でハードワークするというところに関しては上回っていたと思います」
優勝したバイエルンは準々決勝でリオネル・メッシ擁するバルセロナに8-2という衝撃的なスコアで勝利したが、その中でも前線のトーマス・ミュラー、ロベルト・レヴァンドフスキという30代のベテランFWが強度の高いプレスを前線でかけ続ける姿は印象的だった。森保監督の言う通り、決勝で敗れたPSGも前線で1トップを務めたネイマールが2度追い、3度追いを辞さない守備のハードワークを8月のCL、大会を通して披露した。
世界中から最高レベルの個をかき集めることのできる欧州のビッグクラブではあるが、特に近年は組織力の向上が著しい。だからこそ、日本代表を率いて世界と対峙することになる森保監督はまず「個の力を上げること」を日本の選手たちに求める。
「日本代表や日本人が今後世界で戦って、世界に勝っていくためには、まずは個の力を上げるということを、もっともっとやっていかなければいけない。日本は組織で戦う、組織力ということでは間違いなく世界の中で、連携・連動していくプラスアルファの力を見出していくことができる国。個の力を最大限上げた中で、日本の組織力を生かしていくようにできれば」
■9月の欧州の代表戦から受けた刺激
日本代表の活動は実施できなかった今月上旬の代表ウィークにおいても、欧州ではUEFAネーションズリーグが開催された。そうした欧州トップレベルの代表戦も隈なくスカウティングする森保監督は、代表レベルで起きている変化にも敏感だ。
「ネーションズリーグも見させて頂きましたが、一試合目は練習ができていなくて、スペインなんかでもちょっと選手の世代交代であったり、若い選手を多く使ったりで、若干スムーズな部分ではこれまでと違っているような感じはしました。ただ、しっかりと試合の中でアジャストして、スムーズに試合を展開できるようになっていく。われわれ日本人も、日本代表の中でも、練習期間がない中でも誰と組み合わせになって戦うことになっても、練習で合わせるのはもちろんですけど、試合の中で合わせていけるように柔軟に選択肢を持ってプレーできるように選手たちに促していかなければいけないなということは感じました」
さらに欧州最前線では今、10代の若手の台頭も目立つ。森保監督は9月に17歳で代表デビューを果たし、ウクライナ戦(9/6)でゴールまで決めたスペイン代表FWアンス・ファティ(バルセロナ)の名前を挙げて代表におけるスカウティングと選手起用の指針も示した。
「スペインでは17歳のファティ選手が出たり、フランス代表も途中出場ですけど17歳の選手(カマヴィンガ/レンヌ)が出た。10代の選手が活躍しているのを見ると、われわれも日本の選手を見る時に可能性のある選手たち、力を見せてくれる選手たちをさらに成長させていくために、どうやって経験させてあげられるかということをスカウティング、選手起用のところで考えていかなければいけません」
欧州の最前線で起こっている変化、進化をしっかりとキャッチアップしながら、東京五輪やW杯本大会での「世界との戦い」に向けて日本代表と日本サッカーのレベルを引き上げるための策を日々錬る森保一監督。
コロナ禍で代表の活動がしばらく止まってしまったからこそ、その欧州最前線オランダで開催される来月の親善試合には期待をしたい。