現在の公衆電話総数は約12.2万台、減少継続中…公衆電話の設置数の状況
先の東日本大震災の時には重要性を改めて認識させられた公衆電話。しかしながらスマートフォンの浸透の影響を受け、公衆電話の台数は確実に減少している。その状況を2023年7月に総務省が発表した情報通信白書から確認する。
「公衆電話」は言葉通り「公衆」の「電話」であり、結構な数が電話ボックスに収められる形で随所に配置され、誰もが有料で利用できるインフラとして提供されている。他には緊急時に救急車や警察を呼ぶための拠点としての意味合いもある。
しかし「いつでもどこでも電話が使える」公衆電話の役割は、携帯電話の普及とともにその立場を奪われる形となり、需要・利用率も漸減。利用率の低下は売上の低下につながり、採算が取れなくなる対象も増加。結果として設置台数も減らされつつある。
直近分となる2023年3月末時点における日本国内の公衆電話総数は12万1882台。前回年の13万7649台からさらに1万5767台・11.5%の減少である。
公衆電話台数が漸減している状況について総務省側では「高齢者の利用度が高い」「緊急時において必要となる」「ユニバーサルサービス制度によって(赤字でも)維持が義務付けられている」などの理由から、「減少傾向は避けられないが、最低限必要数は維持される」ことが確約されていると説明している。
このうち「緊急時において必要となる」に関しては、2011年の東日本大震災の際に、他の通信インフラが途絶した状態の中、公的機関などに設置・開放された公衆電話を使い身内や知り合いと連絡を取り、肌身をもって実感した人も少なくない。これはNTTが設置する公衆電話は、発信規制や接続規制が行われた際にも優先して通信が行なえる「優先電話」と同様の扱いを受けているため。
また今件設置数にはカウントされないものの、回線のみを用意しておき電話端末自身は設置者が別途保管し(この時点では電話機能は使えない)、災害時などには設置者が回線に電話端末を接続して公開し、無料で通信手段を提供する特殊公衆電話(事前設置電話)の設置数が急増している。この特殊公衆電話は維持費用が安く、電気通信事業法施行規則の縛りを受けることもないことから、公民館や小中学校のような災害時の避難場所として用いられる公共施設を中心に急速に普及をしており、2023年3月末時点でNTT東日本管轄では5万1464台、NTT西日本管轄では3万7180台が設置されている。
今後は「インフラとして必要な公衆電話数の適切数」の検討、さらには「緊急時の保険的通信手段としての役割」が再確認された上で、公衆電話の管理維持が求められよう。
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