シャビの後任は誰に?バルサの財政と次のシーズンに向けた補強という課題。
後任を決めるのは、簡単なミッションではないだろう。
バルセロナは今季限りでシャビ・エルナンデス監督が退任する。2025年夏まで契約を残していたシャビ監督だが、“前倒し”する形での退任をすでに明言している。
「チームの前進に満足している。黄金の勝ち点3だ。我々は素晴らしい試合をした」とはヘタフェ戦後のシャビ監督の言葉だ。
「我々は良い立ち位置を取っていた。ボールを失った後も、良いポジショニングだった。我々は試合を支配した。相手は勝ち点を得るために必死だった。私の(退任の)決断から勝ち点12のうち10ポイントを獲得している。姿勢、コミットメント、関係性、そういったものは素晴らしかった」
■次期指揮官の候補
バルセロナはシャビ監督の退任宣言後、調子を取り戻している。一方、ジョアン・ラポルタ会長とスポーツディレクターのデコは次期指揮官を決めなければいけない。
ルイス・エンリケ監督(パリ・サンジェルマン)、ミケル・アルテタ監督(アーセナル)、トーマス・トゥヘル監督(バイエルン・ミュンヘン)、ハンジ・フリック監督(フリー)、ロベルト・デ・ゼルビ監督(ブライトン)…。複数の指揮官が候補に挙げられている。
ラポルタ会長はL・エンリケ監督とアルテタ監督を気に入っているという。だが彼らはいずれも2025年夏までの契約を残している。交渉は困難を極めるだろう。
トゥヘル監督は今季終了時にバイエルンを去ることが決定している。そして、ハンジ・フリック監督は現在、フリーの身である。ハンジ・フリック監督に関しては、先日、ピル・ザハビ代理人と契約。ロベルト・レヴァンドフスキの代理人で、ラポルタ会長と懇意にしている人物だ。
デ・ゼルビ監督はブライトンで指揮を執っており、近年、欧州で評価を高めた指揮官だ。彼の代理人は、ロナウド・アラウホと同じである。最近、アラウホの契約延長問題を含め、デコSDと接触したことが報じられている。またスペイン『カタルーニャ・ラジオ』によれば、ペップ・グアルディオラ監督がラポルタ会長にデ・ゼルビ監督の招聘を進言したようだ。
■2024ー25シーズンと補強
バルセロナは後任の選定を急いでいる。それは2024−25シーズンに向けた補強にも影響するためだ。
アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)、アマドゥ・オナナ(エヴァートン)、ジョシュア・キミッヒ(バイエルン)、セルジ・カルドナ(ラス・パルマス)、アレイシス・ガルシア(ジローナ)、こちらも複数の名前がメデイアで踊っている。
バルセロナは昨季終了時にセルヒオ・ブスケッツが退団した。シャビ監督はキミッヒやマルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)の獲得を要望していたが、それは叶わなかった。
ジローナからオリオル・ロメウを獲得したが、彼にブスケッツの代役は務まらなかった。ここにきて、アンドレアス・クリステンセンをアンカー起用しているものの、中盤の補強は必須だろう。
またレンタル加入している選手をどうするか、という問題がある。ジョアン・フェリックスとジョアン・カンセロの2選手だ。保有権を有するアトレティコ・マドリーとマンチェスター・シティに彼らを安売りするつもりはない。
先日、ラ・リーガが発表したサラリーキャップの総額で、バルセロナのそれは2億416万1000ユーロ(約327億円)だった。レアル・マドリー(7億2745万1000ユーロ/約1164億円)、アトレティコ(3億340万8000ユーロ/約485億円)に次いで、3番目の数字だった。
例年、スペインの「トップ2」はマドリーとバルセロナだった。だが前回に比べて6600万ユーロ減となったバルセロナは、アトレティコにも抜かれ、厳しい財政状況が再び明らかになった。
■苦しい財政事情と人事
バルセロナの財政は芳しくない。そのなかで、監督の人事と補強を決める必要がある。
「第一に、我々にどのようなキャパシティがあるかを知らなければいけない」と語るのはデコSDである。
「第二に、我々に何ができるかだ。第三に、我々がどの選手を戦力として数えるか。多くの選手はバルセロナ残留を望んでいる。なので、そこは大きく変わらないだろう。そして、(監督の)名前は様々な要因に影響を受ける。高いレベルの監督は、マーケットに多くいない。契約を残している監督ばかりだ。ただ、今後、何らかの動きはあるはず。タイミングを見て、我々は正しい決断を下すつもりだ」
シャビ監督は2021年11月にバルセロナの指揮官ポストに就いた。ロナルド・クーマン前監督からチームを引き継いだ格好だった。
バルセロナはシャビ監督と共にロングスパンのプロジェクトを思い描いていた。だがメンタルの消耗は激しく、シャビ監督が退任を決断した。次の“監督ガチャ”を外すわけにはいかない。ラポルタ会長、デコSD、クラブの手腕が問われている。