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WBA/IBF/WBOヘビー級タイトルの再戦

林壮一ノンフィクションライター
昨年9月25日に新統一王者となった(写真:ロイター/アフロ)

 8月20日、WBA/IBF/WBOヘビー級チャンピオンのオレクサンドル・ウシク(35)と、前王者アンソニー・ジョシュア(32)がサウジアラビアで対峙する。昨年9月25日にウシクが、3-0( 117-112、116-112、115-113)の判定勝ちで王座に就いて以来のダイレクト・リマッチだ。

写真:ロイター/アフロ

 両者とも、2012年ロンドン五輪の金メダリストだ。ウシクがヘビー級、ジョシュアはスーパーヘビー級で最も高い表彰台に上った。

 プロに転向してからも、ウシクはまずクルーザー級統一王者となった後、ヘビー級に増量。

写真:ロイター/アフロ

 24勝(22KO)2敗で、挑戦者となったジョシュアは、元IBFスーパーフェザー級王者のロベルト・ガルシアを新たなトレーナーとして迎え入れ、指導を受けている。

 ガルシアは、現役時代にIBF王座を2度防衛し、メキシコ系アメリカンの人気チャンプだったフェルナンド・バルガスと同じジムで汗をかいている。実の父であるエドワードはデビューから引退までバルガスのチーフセコンドを務めており、義兄弟のような関係だ。

写真:ロイター/アフロ

 そのガルシアのコーチについて、ジョシュアは言う。

 「会話する時間が長く、分かりやすい。新たな自分としてリングに上がれそうだ。これまでと環境が変わったよ。KOだろうが明確な判定だろうが、ファンを喜ばせて王座に返り咲くさ」

写真:ロイター/アフロ

 19戦全勝13KOと挫折を知らないウクライナ人チャンピオンは、2月まで家族と一緒に祖国で暮らしていた。しかし、戦火を逃れるために3月に親しみのある地を離れて調整中だ。

写真:ロイター/アフロ

 ウシクはウクライナの希望として、苦しむ胸の内をリングで爆発させるか。あるいはジョシュアがガルシア効果を見せるか。心情的にはウクライナ国民に、束の間の笑顔を、という気持ちになるが……。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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