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【自民党総裁選】 内閣支持率が下落も、政権安定で3選は確実

安積明子政治ジャーナリスト
第196回通常国会終了時の会見にて(写真:ロイター/アフロ)

内閣支持率は下降傾向だが

 7月20日から22日にかけて大手メディア各社が行った7月の世論調査は、如実に永田町の空気を示すものだった。内閣支持率については日経新聞・テレビ東京共同調査では、支持が45%で不支持が47%。前回比で支持が7ポイント減少し、不支持が5ポイント増加した結果、再度不支持が支持を上回っている。読売新聞では支持と不支持がいずれも45%で、共同通信では支持43.4%で不支持率41.8%。産経新聞・FNNでは支持が2.5ポイント減の42.1%で不支持が1.7ポイント増の47.3%。ANNでは支持は1.2ポイント減の38.2%で、不支持は1.1ポイント増の45.6%だった。

これらを見ると内閣支持率が前回より上昇したところはなく、不支持率が上昇したのは5社中で4社を占めた。また不支持率が支持率を上回ったのは日経、産経、ANNの3社で、全体として支持の下降が見てとれる。

「自民亭」の影響は意外と小さい

 その原因として、IR実施法の成立や参議院定数を6増して比例区で「特定枠」を設ける公職選挙法改正などが国民の批判の的となったからだろう。中でも7月5日夜に行われた「赤坂自民亭」のダメージは大きい。共同通信の調査では、「大きな被害を出した西日本豪雨について、警戒中だった5日夜に安倍晋三首相ら自民党議員が飲み会に参加していたが、首相は初期対応に問題はなかったとの認識を示した。安倍内閣の豪雨対応を評価するか」との問いについて「評価する」の27.5%に対し、「評価しない」は62.2%と2倍以上を占めた。

 しかしそれは大きな責任問題に発展していない。というのも自民党の政党支持率は、共同通信(2.8ポイント増の41.6%)、読売新聞(3ポイント増の41%)、産経新聞(4.4ポイント増の37.6%)と、5社中3社で前回に比べて上昇しているからだ。

 そして日経、読売、共同、産経の4社で、内閣支持率が自民党支持率を上回っている。依然として官邸の力は強いという構造が見てとれる。

個人的人気で石破氏を圧倒

 もっとも個人的な人気について、安倍首相は小泉進次郎筆頭副幹事長に及ばない。日経・テレ東の調査では小泉氏が27%、安倍首相が26%、石破茂元幹事長は21%の順で、読売新聞でも小泉進次郎氏が29%で、安倍首相26%、石破氏は22%。石破氏が7月23日にテレビ東京のニュース番組で小泉氏の応援を求めたのは、次期総裁選に不出馬の小泉氏の人気に期待したものだ。

 だが総裁選は一般投票ではなく、自民党の党員票や議員票によって行われる。産経・FNNの調査によれば、自民党支持者層では安倍首相が49.1%と不動で、19.8%の小泉氏と16.9%の石破氏が組んでも及ばない数字だ。

 なお同調査では自民党支持層で支持率3.8%と低迷する岸田文雄政調会長は24日に会見を開き、総裁選に不出馬を表明した。3.5%の野田聖子総務相は長年出馬に意欲を燃やしちるが、朝日新聞が報じた金融庁のレクチャーに仮想通貨発行業者を同席させていた件が足を引っ張っており、推薦人が集まるかどうかも微妙な状況だ。

 第196回通常国会が終わり、森友学園問題や加計学園問題で野党に追及されることもなくなった。安倍3選はほぼ確実。あとはレイムダックにならないことと、いかに有終の美を飾るかが課題だろう。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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