火に油を注がない!新人のための「クレーム電話」即対応マニュアル
新人の電話応対の中でも、最も難しいものが「クレーム電話」ではないでしょうか。
電話に出たら、いきなり怒鳴られてしまい、どう対応したらいいのかわからない…という事もあります。
クレーム電話は、いつかかってくるかわからないため、新人でも対応する可能性は十分に考えられます。自分自身のミスではなくても、電話に出た自分が「会社の代表」として、適切な対応を求められているのです。
いざクレーム電話がかかってきたときに落ち着いて対応できるよう、以下の基本の3ステップを覚えておきましょう。
1ステップ:まずは謝罪
まずは、誠心誠意お詫びをすることが大切です。
最初から言い訳をしてしまったり、自分のミスではないからと「私は担当ではないので、わかりかねます」と他人事のように対応してしまうと、火に油を注いでしまいかねません。
クレームの原因となった事実がどうであれ、お客様を不快にさせてしまったことは変わらないので、しっかりと謝罪をしましょう。謝罪の言葉には、以下のようなものがあります。
・「ご不便をおかけしまして、申し訳ございません」
・「不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」
・「ご迷惑をおかけしまして、申し訳ございません」
新人のうちは、「申し訳ございません」だけでも、気持ちを込めて言えるようにしましょう。しかし、「申し訳ありません」とだけ何度も繰り返していると、「ただ謝ってうやむやにしようとしている」と受け取られ、さらに怒りをかうこともあるので気をつけましょう。
2ステップ:事実の確認
次に、相手の話を聴き、クレームの原因となった事実の確認を行います。もし相手が激昂している場合には、気持ちが落ち着いて冷静に話ができるまで話を聴きます。
新人とはいえ、どんな内容のクレームなのかも聞かずに電話を取り次いでしまうと、電話の相手は「逃げている」と感じてしまいます。
話を聴く際には、必ずメモを取り、相手に寄り添うことを心がけます。すべてをメモできなくてもいいので、印象に残った単語だけでも書き留めましょう。
話を聴きながら疑問に思った不明点は、「よろしければ」「差し支えなければ」「失礼ですが」といったクッション言葉を添えながら、「よろしければ、その時の状況を詳しく教えていただけますか」など、追加で質問を返し、正確な情報を得ましょう。
3ステップ:解決策の提示
話を聴いて、事実関係が把握できたら、次に「解決策」を提示します。
自分で確実に対応可能な、簡単な解決策ならよいのですが、新人のうちは、どのように解決したらいいかわからない場合も多くあります。
要望があっても、「たぶんできると思います」など、あいまいに答えてしまうと、もし要望に添えなかった場合、「やっぱりできません」とは言えません。確実でないことを答えるのは避けましょう。クレーム電話の勢いに負けて、あいまいに答えてしまい、さらに大きな問題を招いてしまうこともあります。冷静に対応しましょう。
自身で解決策が思いつかない場合は、一度電話を切って、上司に確認してから折り返し電話をします。その場合、以下のように告げます。
「恐縮ですが、私では判断ができかねるため、確認して折り返しお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか。私〇〇と申します」
わからない事を確認する際、電話を保留にすると、長時間電話口で待たせてしまうことになるので、クレーム時の対応としてはよくありません。また、最初に自分の名前を名乗っていても、相手が名前を覚えている事は少ないので、一旦電話を切る際には改めて名前を名乗り、責任感を示しましょう。実際に電話を切ったら早急に上司に確認し、内容にもよりますが5分以内に折り返します。
「クレーム電話」トーク実例
では、実際にどのような応対をすればいいのでしょうか。そこで、クレーム電話応対の具体的な例を以下に挙げますので、ぜひ参考にしてください。
自分「お電話ありがとうございます。◯◯社の△△でございます」
お客様「□□社の××ですが、本日届くはずのパソコンが届かないんだけど」
(1)まずは謝罪
自分「ご迷惑をお掛けして、申し訳ございません。本日納品予定のパソコンがまだ届いていないということですね」
お客様「営業の◎◎君には伝えたけど、パソコンが壊れて業務が止まって、本当に困っているんだよ」
(2)事実の確認
自分「ご不便をおかけしまして、申し訳ございません。よろしければお聞かせ願いたいのですが、本日は何時に納品のお約束をしておりましたでしょうか」
お客様「10時の約束だったんだよ。困ってるから、12時までに持ってきてほしいんだけど」
(3)解決策の提示
自分「12時までですね。大変恐縮ですが、私では判断ができかねるため、確認してすぐに折り返しお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか」
お客様「わかりました」
自分「申し訳ございません。私、△△と申します。失礼いたします」
→すぐに上司または営業の◎◎さんに確認し、5分以内に折り返し電話をする
まとめ
クレーム電話は誤った対応をすると、火に油を注いでしまい、更に大きなクレームを招いてしまうことがあります。適切な対応の3ステップを行い、お客様に寄り添って対応することで、今後の関係にわだかまりを残さず、解決に導けます。相手の立場に立って、真摯に応対できるようになりましょう。
研修トレーナー太田 章代
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太田章代の『ビジネスコミュニケーション術』