利用者30.5%・金額2万2279円…有料動画配信の利用実情をさぐる(2024年公開版)
映像や音楽の市場を大きく変質させ、エンタメ部門に新たな旋風を巻き起こす技術・サービスとして、急速に浸透しているのが有料動画配信。個別の作品をデータ単位で買い取る、あるいはレンタルソフトのように短期間視聴できるスタイルだけでなく、クラウドサービスのように特定作品を視聴する権利を得られる「半永久視聴権」の販売や、一定期間は特定の枠組み内で好きな映像が観放題の定額サービスも展開され、急速にその利用者を積み増ししている。今回は日本映像ソフト協会が2024年5月に発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の「広報資料」を基に、有料動画配信サービスの実情を確認する。
直近の2023年では有料動画配信サービス市場は5991億円を示している。この市場には「定額見放題サービス」「都度課金サービス」「有料動画購入サービス」などが該当する。
この有料動画配信の利用状況を確認したところ、2023年では調査対象母集団(16~69歳。一般調査は1925人、有料動画配信の内情調査は1526人。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている)の30.5%が利用していることが分かった。おおよそ10人に3人。また、利用者における平均利用本数は、直近年では非公開のため不明だが、前回年の2022年では61.3本だった。
2015年から計測対象範囲を大きく拡大していることから、経年傾向を推し量ることは難しいものの、2023年は前年比で利用率は増え、利用金額も増えている。特に利用金額の増え方がイレギュラー的なレベルだが、これについて広報資料では「2023年は音楽(人気アイドルグループ作品)」、TVドラマ(人気アイドル主演作品)など高単価なソフトが軒並み好調であり単価を押し上げたとみられる」と説明している。
業界側の立ち位置で考えれば今件状況は、利用率が上昇し、利用金額も増加、そして市場そのものが拡大しているのだから、よい話に違いない。実際、業界全体の統計結果からも2022年が5504億円、2023年が5991億円となり、1年間で487億円も拡大しているのが実情ではある。
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