「任○堂は無関係」商標は任天堂との混同を招くと特許庁が判断
任天堂とマリカーの訴訟に関する過去記事中で引き合いに出した「任○堂は無関係」という商標登録出願に、2月7日付けで拒絶理由が通知されていました。一時期(今も?)公道カートに付いていた「任天堂は無関係」という表示(こちらも別途出願済です)が拒絶された時対策の商標と思われ、マリカー運営者と関係があると推測される知財防衛株式会社なる会社が出願していたものです。同社は、とうてい自社で使用するとは思われない多様な商標登録出願を行なっていますが、料金はちゃんと払っていますので通常どおり審査は行なわれています。
拒絶理由は多岐にわたります。あまりにも指定商品・役務の範囲が広いので使用に疑義があるというお約束や単なる記載ミスに加えて、興味深いのは、以下の商標法4条1項15号(商品又は役務の出所の混同)に関する判断(強調は栗原による)です。
さらに、商標法4条1項11号(類似先登録)については、何と164件もの先登録(全部調べてませんが「任天堂」や「NINTENDO」を含むものです)が引用されています。この商標登録出願には誰かから情報提供が行なわれています(任天堂によるものと推測されます)ので、そこでの内容を流用したのかもと思いましたが、伏せ字なしの「任天堂は無関係」の出願(こちらには情報提供は行なわれていません)についても昨年の11月8日に同様の拒絶理由が通知されていますので、審査官が調べたのでしょう(お疲れ様です)。
なお、4条1項7号(公序良俗違反)は指摘されていません。この条文は、他に拒絶の根拠となる適切な条文がないが登録すると公正な競争を阻害すると思われる場合に使用される「伝家の宝刀」なので、他に十分な拒絶理由がある以上、使うまでもないということなのでしょう。
全体として、この商標は登録させまいという審査官の強い意思を感じます。「任天堂」が(超)著名商標であることから、競争秩序の維持のために強い保護を与えるべきなのは当然と言えます。