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ソロ温泉はさびしくない!「ひとり旅にやさしい温泉地」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

ひとりでの温泉旅(=ソロ温泉)に対して、「さびしい」「不安だ」といったマイナスのイメージを持っている人は少なくない。

だが、忙しなく窮屈な日常から切り離された時間をもてるソロ温泉は、さまざまなしがらみを持つ現代人に必要な時間である。その魅力を知ってしまえば、恐れることはない。

ただ、ひとり旅の初心者にとって悩ましいのは、「どの温泉地がひとり旅に向いているか」という点だろう。ひと口に温泉といっても、日本には数多くの温泉地が存在する。

全国3800の温泉地をほぼひとり旅で巡ってきた筆者の経験からいえば、温泉地選びのポイントは次の3つに集約できる。

1つめは、観光客が多すぎない温泉地。家族や友人同士で訪れるような人気の温泉地に、ひとり旅に耐性のない人が行くと強烈に孤独感を覚えるようだ。

2つめは、湯治の文化が残る温泉地。療養などに使われてきた昔ながらの温泉地は、ひとり客を受け入れる懐の深さがある。また、湯治宿は宿泊費がリーズナブルという点も、ひとり旅にとってはありがたい。

3つめは、宿のバリエーションが多い温泉地。ひとり旅なら素泊まりにして、食事は気楽に外でも済ませられる。温泉旅館にかぎらず、民宿やペンション、ビジネスホテルなどでリーズナブルに過ごす、というプランも選択肢に入る。

以上の点を踏まえて、ソロ温泉に向いている温泉地を5カ所紹介したい。

長湯温泉(大分県)

里山の風景が和む温泉地。同じ県内の別府や由布院などと比べて、静かな環境が魅力だ。炭酸泉という貴重な泉質が湧くだけでなく、温泉施設はいずれも源泉かけ流しである。小規模や湯治客用の宿も多いので、ひとりでもゆっくり時間を過ごすことができる。

大沢温泉(岩手県)

花巻南温泉郷の一角を占める大沢温泉は、2つの個性の異なる建物で構成される一軒宿。なかでも自炊部のある「湯治屋」はリーズナブルな料金(2900円~)で湯治を体験できるので、一人泊や連泊にも向いている。川に面した混浴露天風呂「大沢の湯」が名物。館内には食事処や売店もあり、湯治初心者も安心。湯船も複数あるので、敷地内で湯めぐりを楽しめる。

肘折温泉(山形県)

山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。ひとりでもリーズナブルに宿泊できる宿が多く、プチ湯治体験を楽しみたい。連泊でゆっくり過ごすのもよい。

野沢温泉(長野県)

標高600mに位置する情緒あふれる温泉街には、旅館や土産物屋、飲食店などが並び、ひとり旅でもなじみやすい規模感。正統派の温泉旅館も多いが、安価に滞在するなら素泊まり数千円の民宿やペンションなどがおすすめ。リーズナブルに長期滞在も可能だ。温泉のない宿でも、外湯が13カ所あるので困ることはない。

東鳴子・川渡温泉(宮城県)

鳴子温泉郷は、鳴子を中心に東鳴子、川渡、中山平、鬼首の5つの温泉地で構成される。最もにぎやかなのは鳴子温泉で、湯の街情緒もある一方、東鳴子や川渡は湯治場の素朴な風情が魅力。湯治宿が数多く健在で、数千円で宿泊できる湯治宿も存在する。連泊して温泉めぐりを楽しむのも一興だ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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