記録的な猛暑が台風シーズンを長引かせる
この夏、世界各地を襲った記録的な熱波は経済にも影を落としています。最近の報道によると、ドイツではライン川の水位が著しく低下したため、船舶を使った輸送が滞る事態に。また、中国では干ばつによる電力不足が深刻です。
温暖化を指摘する声を多く聞きますが、猛暑の影響はこれだけに留まりません。暑さによる海面水温の上昇はハリケーンの活動期間を長引かせると指摘する専門家がいます。
温暖化1度上昇で、ハリケーン期間は40日長く
米環境情報センター(NCEI)の大気科学研究者であり、熱帯低気圧の専門家のジム・コシン(Jim Kossin)博士によると、温暖化による気温1度の上昇で、ハリケーンの活動期間は約40日長くなるそうです。具体的には20日早く始まり、終わりが20日遅くなるとのこと。コシン博士は海面水温の上昇で季節が長くなることが原因のひとつに考えられるが、熱帯低気圧との関係は複雑で、先進的な研究分野としています。
日本近海の水温 上限の30度に
この夏、日本も記録的な暑さが続いたため、日本近海の海面水温は広い範囲で30度を超えていて、外洋の水温としては限界の高さに達しています。
秋雨活発、台風の長期化も
この秋はまた、太平洋高気圧が長く居座る可能性があり、秋の深まりはいつも以上に遅くなりそうです。
そして、雨も多く、本州付近に秋雨前線が停滞し、活動が活発になる時期がある見通しです。海面水温が高いことから、今後は大型の台風の発生があるでしょう。昨年10月は大型で非常に強い台風16号が関東地方に接近し、東京都心でも100ミリを超える大雨になりました。台風シーズンの長期化が心配されます。
猛暑の影響は収まる気配がなく、まだまだ気が抜けない日々が続きそうです。
【参考資料】
米海洋大気庁(NOAA):A NOAA Expert Answers Our Questions About the Historic 2020 Hurricane Season、November 3, 2020
気象庁:全般季節予報支援資料(3か月予報)、2022年8月23日