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モウリーニョが「公開謝罪」 なぜローマ監督は会見で記者に詫びた?

中村大晃カルチョ・ライター
9月1日、セリエA第3節ミラン戦でのモウリーニョ監督(写真:ロイター/アフロ)

あのジョゼ・モウリーニョが、自らの発言を記者に詫びた。

9月17日のセリエA第4節で、モウリーニョ率いるローマはエンポリにホームで7-0と大勝した。待望の今季初白星をあげた試合後、指揮官は会見でひとりのジャーナリストに謝罪している。

歯に衣着せぬ物言いで知られるモウリーニョがなぜ、それも公の場で謝ったのだろうか。

■記者の質問に応じなかったモウリーニョ

カリスマ監督が反省したのは、試合前日会見での発言。ローマ専門サイト『Il Romanista』のダニエレ・ロ・モナコ記者の質問に対する“回答”だ(動画26分30秒から)。

同記者は、前の試合でミランにホームで1-2と敗れたローマの姿勢を疑問視。モウリーニョにその理由と、振り返って悔いはあるか尋ねた。

この2年、そして3年目も始まり、ジョゼ・モウリーニョの仕事を近くで見て、サッカーファンとして非常に多くを学んできました。告白すると、ミラン戦に少し困惑しています。今季のやや違う取り組みを見てきて、違うやり方で臨むと思っていました。戦略のことです。でも実際に目にしたのは、スピードのあるアタッカーに対してサイドを空けないためか、両翼を退かせるなど、とても待ちの姿勢のローマでした。今後にも役立つかもしれないのでうかがうのですが、試合に向けた準備のどの段階でこのように臨むと決めたのでしょう。そして結果を見て、選択に悔いはありますか?

これにモウリーニョは具体的に答えることなく、ロ・モナコ記者を貶めるような言葉で返したのだ。

いいかい。「成功の方程式」において大事なのは、自分よりも能力のない人に耳を貸さないことだと思う。私はそれが大切だと思っているんだ。自分よりも知っている人、自分が考える助けになれる人、あるいは自分ほど知らないかもしれないが毎日一緒にいる人たちが言うことは聞く。もちろんスタッフもそうで、スタッフは私にとって非常に重要だ。だが、本当の意味でベンチに座ったことがない者や、こういった状況を長年経験したことのない者、このレベルの試合の準備をしたことがない者と、そういったことを話し合いたいとは思わない。

■公での発言を公に謝罪したモウリーニョ

しかし翌日、エンポリ戦の試合後会見で、モウリーニョは報道陣の質問を受ける前に、ロ・モナコ記者に謝罪した。

みなさんの質問の前に、ロ・モナコに謝りたい。あなたはいつも私に対して正しかったし、ジャーナリストとして仕事をしている。優秀な記者でもある。聞き返してみたのだが、昨日のあなたの質問に、私があのような回答をする理由はなかった。謝罪する。昨日公の場で愚かなことをしたのと同じように、扉の向こうではなく、公に謝らなければいけない。申し訳ない。

これを受け、ロ・モナコ記者はSNSに「この件は終わりだ。このように謙虚な偉人は少ない。これで前進だ」と投稿。モウリーニョの真摯な姿勢を称賛し、謝罪を受け入れた。

モウリーニョは何かとお騒がせな言動で知られ、批判の声も少なくないのは周知のとおり。今回の謝罪も、エンポリ戦で大勝した後だからという声もある。

だが少なくとも、ロ・モナコ記者自身は前に進むと明言している。あえて公の場で反省を示し、記者に謝罪したことじたいは称賛に値するだろう。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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