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平成から令和に通過する南岸低気圧

饒村曜気象予報士
地上天気図(平成31年(2019年)4月29日21時)

平成最後の南岸低気圧

 平成最後の日、平成31年(2019年)4月30日は、東シナ海で発生した低気圧が日本の南岸を通過する見込みです(タイトル画像、図1)。

図1 予想天気図(4月30日9時の予想)
図1 予想天気図(4月30日9時の予想)

 この南岸低気圧により、東北から東日本、西日本の広い範囲で雨の見込みです。

 平成の大晦日は、多くの地方では、平成との別れを嘆くかのような、惜別の雨になりそうです。

 ただ、低気圧に向かって暖かくて湿った空気が流入してくると、東日本の太平洋側の地方では警報級の大雨となる可能性がありますので、最新の気象情報に注意が必要です(図2)。

図2 警報級の可能性(4月30日朝~夜遅く)
図2 警報級の可能性(4月30日朝~夜遅く)

 東京の時系列予報でも、4月30日は雨が一日中降り続きます。

 気温は、一日中同じような温度(14度前後)で、朝は冷えこまないものの、日中は温度が上がらず、肌寒く感じる平成最後の日になりそうです(図3)。

図3 東京の時系列予報(4月30日~5月1日)
図3 東京の時系列予報(4月30日~5月1日)

令和最初の南岸低気圧

 図4は、平成が令和に替わる5月1日0時の雨と風の雲の様子です。

 北海道から東北の太平洋側、東日本の太平洋側、および沖縄で雨が降っており、関東から東北の太平洋側では南寄りのやや強い風が吹いています(図4)。

図4 平成から令和にかわるときの雨と風の分布(5月1日0時の予想)
図4 平成から令和にかわるときの雨と風の分布(5月1日0時の予想)

 令和最初の日、低気圧は日本の東海上に抜けますので、天気は西日本から回復してきます(図5)。

図5 平成31年(2019年)5月1日9時の予想天気図(平成30年)
図5 平成31年(2019年)5月1日9時の予想天気図(平成30年)

 ここで、図5の表記が「平成31年5月1日9時」となっているのは、この予報が平成31年(2019年)4月29日に発表されたからです。

 気象庁では、平成に発表した気象・地震等に関する情報については、元号のみの修正は行わないことから、4月中に発表する5月1日以降を対象とする気象情報等の元号表記は平成としているからです。

 誤植ではありません。

 ただ、この南岸低気圧が少し予想より北上して通過すると東日本で大雨となり、逆に予想より少し南下すると雨が降らないという予報が難しいケースです。

 最新の気象情報の入手をお願いします。

 

ゴールデンウィーク後半の天気

 雨の多いゴールデンウィーク前半でしたが、令和に入って2日目以降は、大きな移動性高気圧に覆われますので、全国的に晴れのところが多くなります(図6)。

図6 全国の10日間予報
図6 全国の10日間予報

 ただ、ゴールデンウィーク明けは、雨の通学や通勤になりそうです。

図1、図5の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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