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【アレルギー性皮膚疾患と環境因子の関係】気候変動や大気汚染が及ぼす影響とは

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:アフロ)

【アレルギー性皮膚疾患とは】

アレルギー性皮膚疾患は、皮膚が環境中のアレルゲンに反応することで引き起こされる炎症性の病気です。代表的なものにアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、血管性浮腫などがあります。これらの疾患は、慢性的な経過をたどることが多く、患者さんのQOL(生活の質)に大きな影響を与えます。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の異常が主な原因と考えられています。一方、接触皮膚炎は、特定の物質への接触により皮膚に炎症が生じる病気です。蕁麻疹や血管性浮腫は、皮膚のマスト細胞が活性化されることで起こります。

これらのアレルギー性皮膚疾患の治療には、保湿剤や抗炎症作用のあるステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬などが用いられます。最近では、重症のアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤も登場しています。

【皮膚疾患と環境因子の関わり】

皮膚は外界と直接接触する臓器であるため、環境因子の影響を大きく受けます。大気汚染や気候変動は、アレルギー性皮膚疾患の有病率や重症度に関与すると考えられています。

大気中の微小粒子状物質(PM2.5など)は、皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こすことが知られています。また、温暖化による気温や湿度の上昇は、皮膚の乾燥を助長し、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。

さらに、環境中のアレルゲンの種類や量も、アレルギー性皮膚疾患に影響を及ぼします。例えば、スギ花粉やダニ、カビなどのアレルゲンは、皮膚の炎症を引き起こす可能性があります。

【皮膚の健康を守るために】

アレルギー性皮膚疾患を予防・改善するには、環境因子への対策が重要です。大気汚染対策として、マスクの着用や空気清浄機の使用が挙げられます。また、室内の湿度を適切に保ち、こまめな掃除でアレルゲンを除去することも大切です。

皮膚のバリア機能を維持するためには、保湿剤の使用が欠かせません。入浴後は、肌が乾燥する前に保湿剤を塗るようにしましょう。刺激の少ない洗浄料を選ぶことも重要です。

アレルギー性皮膚疾患は、環境因子と密接に関わっています。皮膚の健康を守るには、大気汚染や気候変動への対策、住環境の改善、適切なスキンケアが必要不可欠です。皮膚科医と相談しながら、総合的なアプローチで皮膚の健康維持に努めましょう。

参考文献:

1. Cecchi L, D'Amato G, Annesi-Maesano I. External exposome and allergic respiratory and skin diseases. J Allergy Clin Immunol. 2018;141(3):846-857.

2. Kim YM, et al. The effects of particulate matter on atopic dermatitis symptoms are influenced by weather type: Application of spatial synoptic classification (SSC). Int J Hyg Environ Health. 2018;221(5):823-829.

3. Curr Allergy Asthma Rep. 2024 May 11. doi: 10.1007/s11882-024-01147-9.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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