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剛力彩芽さんと前澤友作氏との結婚の可能性「ゼロ」の理由は「相続」なのか

竹内豊行政書士
剛力彩芽さんと前澤友作氏と結婚の可能性は「相続」問題でないと報道がありました。(写真:アフロ)

剛力彩芽さんと前澤友作氏と結婚の可能性について、将来発生する「相続」が原因で「ゼロ」という記事が報じられました。

今月27日に28歳を迎え、新たな道を歩み出す剛力。今後気になるのは、前澤氏との将来だが、結婚の可能性は「ゼロ」だという。

「結婚はしないでしょう。前澤さんには、2人の女性との間に3人のお子さんがいて、将来は資産をお子さんたちに相続させるつもりですから。それに、2人の女性とは結婚しなかったのに、剛力さんと結婚すると、財産分与のことでも揉めることになりますからね」(前澤氏を知る放送関係者)

出典:剛力彩芽オスカー退所へ それでも前澤友作氏と結婚の可能性「ゼロ」の理由

前澤氏は、以前テレビのインタビューで、放送関係者が言うとおり、2人の女性との間に3人の子どもをもうけて、認知していることを話しています。その3人の子どもに財産を相続させるために剛力さんと結婚をしないというのです。そこで、今回は、認知と相続、そして結婚について考えてみたいと思います。

「認知」をするとどうなるか

婚姻関係にない男女から生まれた子を、婚外子(非嫡出子。「嫡出でない子」)といいます。非嫡出子であっても、その両親との間に血縁上の親子関係がある以上、何らかの法的効果が発生してしかるべきです。そこで、法は認知という制度を設けています。

嫡出でない子は、その父または母がその子を認知することができます(民法779条)。「父または母が認知できる」とされていますが、母親は分娩(出産)の事実のみによって法的な母子関係が発生するので、認知が問題になるのは父親だけです。

(認知)

民法779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

認知には遡及効(過去にさかのぼって効力を発生する効果)があり、生まれたときから認知した父親との間に法的親子関係があったものとして取り扱われます。

認知をすると「相続人」になる

認知をした子と父親は法的に親子関係になるので、次のような法的効果が発生します。

・子は父親の氏(姓)を名乗ることができる(民法791条1項 その場合は父親の戸籍に入る)

・父親を親権者にすることができる(民法819条4項)

・父親に対して扶養料を請求することができる

・父親の財産の第1順位(子)の相続人となる

このように、認知をすると法的に親子関係が発生するので、当然に父親が認知した子は父親の相続人になります。

結婚すると相続人になる

結婚をすると配偶者としての身分を取得するので相手配偶者の夫または妻として相続人になります(民法890条)。そして、配偶者の相続分は2分の1です(民法900条)。

(配偶者の相続権)

民法890条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

「遺言」で法定相続分を修正できる

このように、認知された婚外子は認知した父親の相続人となります。また、結婚をすると(婚姻届を役所に届け出ると)夫婦は互いに相続人になります。

この場合、配偶者は2分の1、子も2分の1(子が複数の場合は、均等割り)の法定相続分を取得します。しかし、法定相続分は遺言を残すことにより修正できます。

結婚すると発生する権利義務

婚姻届を届け出ると、法律上、次のような権利と義務が生じます。

夫婦同氏(民法750条)

夫婦は、結婚の際に夫または妻の氏(法律では「姓」や「苗字」を「氏」と呼びます。)のどちらかを夫婦の氏として選択しなければなりません。

民法750条(夫婦の氏)

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

同居協力扶助義務(民法752条)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助し合わなくてはいけません。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

貞操義務

夫婦は貞操義務を負います(つまり、不倫はダメということ)。

このように、法的に結婚をすると互いに多くの権利義務が発生します。その権利義務を良しとしない場合は、あえて結婚せず、事実婚を選択する人もいます。前述のとおり相続に関しては、「遺言」で法定相続分をある程度修正することが可能です。

冒頭にご紹介したインタビューで前澤氏は結婚観について次のように語っています。

なお、「結婚観」について聞かれると「まず、結婚ということ自体に全く興味がないです。ただの紙を出す作業」と話した。

出典:前澤社長 未入籍の女性2人との間に「息子が3人」 剛力も「応援」

剛力彩芽さんと前澤友作氏が今後結婚を選択しないとしたら、相続の問題ではなく、前述の結婚によって発生する権利義務が「結婚観」に合わないことではないでしょうか。

お付き合いしている人と結婚という形を選択する・しないはもちろん当事者の自由です。大切なことは、結婚という形ではなく、二人の愛情だと思います。あなたはどうお考えになりますか。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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