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日本女子テニス選手初! 19歳の大坂なおみが獲得したWTAアワード最優秀新人賞の価値

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
WTA最優秀新人賞を獲得した大坂。来シーズンの活躍も楽しみだ(写真/神 仁司)
WTA最優秀新人賞を獲得した大坂。来シーズンの活躍も楽しみだ(写真/神 仁司)

プロテニスプレーヤー・大坂なおみが、WTAワールド女子テニスツアーで、2016年に最も活躍した新人選手に与えられる「WTAアワード Most Impressive Newcomer最優秀新人賞」を10月21日に受賞した。

この賞は、1977年から設けられたもので、過去には元女王のマルチナ・ヒンギスやウイリアムズ姉妹、マリア・シャラポワらが受賞しているが、日本女子テニス選手では初めての快挙だ。

また、WTAアワードの他部門全体では、伊達公子が、1992年に「Most Improved Player最も進化した選手」、杉山愛が、1999年に「スポーツマンシップ賞」をそれぞれ受賞したが、大坂は、日本女子では3人目となる価値あるWTAアワード受賞者となった。

ちなみに、日本男子テニス選手では、錦織圭が、2008年にATP最優秀新人賞を獲得したのが唯一の受賞だ。錦織も、大坂のポテンシャルを評価している。

「パワーがあって、これからすごく伸びる選手だと思うので、今後が楽しみですね」

18歳になった大坂は、2016年シーズンからは年齢による大会出場制限を受けることなくプレーして、1月の4大テニスメジャー第1戦のオーストラリアンオープンテニスでは、予選から勝ち上がってグランドスラムデビュー。いきなり3回戦まで勝ち上がった。メジャー第2戦のローランギャロス(5月、全仏テニス)でも初出場ながら3回戦進出。そして、メジャー最終戦のUSオープンテニス(8月)でも初出場で3回戦進出。メジャー第3戦のウインブルドンは、ひざのけがで欠場したが、出場したグランドスラム3大会すべてでベスト32を記録するという離れ業を成し遂げた。

また、WTAツアーでも活躍し、グランドスラムに次ぐグレードのWTAマイアミ大会(3月)では、ワイルドカード(大会推薦枠)で初めて出場してベスト32に進出。そして、日本開催で最大の国際テニス大会である、東レ パン・パシフィックオープンテニス(9月)では、1995年の伊達公子以来となる日本女子選手による決勝進出を果たし、見事準優勝に輝いた。

2015年シーズンをWTAランキング203位で終えた大坂だったが、今季は活躍するたびにランキングが上がり、目標を上方修正していきながら4月に世界トップ100入り、9月にトップ50入りを果たし、ついに自己最高40位(10月17日)に到達した。

予想を上回る成長をしてみせた大坂の最大の武器は、身長180cmから放たれる強力なサーブだ。今年のUSオープンテニスでは、時速201kmを記録し、出場した女子選手の中で最速だった。また、フォアハンドストロークももともとパワフルだが、今シーズンはバックハンドストロークが上達してミスが減り、ゲームの中で有効な武器となっていった。

「今年は、正直とてもハッピーなことがたくさん起きた1年でした。起きたことを一つひとつかみしめていきたい。これまでの1年は十分満足しています」

このように、18歳で残した素晴らしい足跡を振り返った大坂だが、今月19歳になったばかりになった今も強い上昇志向をもっている。

「私は、何でもちょっとでも良くなりたいと考える人間だと思っています」と自己分析して、2017年シーズンにさらなる活躍を予感させる。

WTAアワード最優秀新人賞という名誉ある勲章を手にした大坂は、WTAツアーはもちろんグランドスラムでも、より大きな存在感を示すような選手に成長していくだろう。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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