米国人が八村塁と似ていると語ったルディ・ゲイ
20年以上の付き合いになるラムシー・ハンディー。マイナー団体を含め6階級を制したボクシング界のレジェンド、トーマス・ハーンズの元付き人であり、高校時代までバスケ選手だった男だ。
その彼が「八村塁はルディ・ゲイ(33)みたいだな。プレースタイルが似ている。サイズもそうだし、コートにいる時の存在感も」と語った。
正直、私はあまりピンと来なかったが、両者の類似点を探ってみた。
ご存知のように、八村塁は昨年のドラフトで1巡目9位指名を受け、NBA選手となった。ゲイは2006年のドラフトで、1巡目8位で指名されている。共にポジションはフォワード。身長203cm、体重104kgのサイズ、大学で活躍し、卒業を待たずにアーリーエントリーでNBA入りした点も同じである。
ゲイはデビューからの7シーズンをメンフィス・グリズリーズ、その後2年をトロント・ラプラーズ、2013年から17年をサクラメント・キングスでプレーした。現在所属するサンアントニオ・スパーズは、今季で3年目となる。今日の背番号は22だが、キングス時代は八村が好む「8」をつけていた。昨年、一昨年、2012年と3度プレイオフ出場を果たしている。
アメリカ代表としても、2010年と2014年のワールドカップで優勝を経験。NBAでのキャリアは14年目となるベテランだ。
2月6日(現地時間)、サンアントニオ・スパーズとポートランド・トレイルブレイザーズ戦に足を運んだ。この日、トレイルブレイザーズのホームアリーナであるモダ・センターのチケットは完売。1万9653人が会場を埋め尽くした。
ルディ・ゲイはベンチスタートだった。出場時間はチーム内で8番目に長い14分03秒。得点は4。サンアントニオ・スパーズの顔は、シューティングガードのデマー・デローザンである。同チームを牽引するデローザンのプレー時間は37分13秒。得点は21。デローザンと比較すると、ゲイは主力とは言い難かった。
第1から第3クォーターまでは一進一退のシーソーゲームが展開されたが、スパーズは地元の大声援に後押しされたトレイルブレイザーズに振り切られ、117対125で黒星を喫した。
控室でスマホを見詰めるゲイに言葉をかけた。
「残念だったが、今のチームの状態がどうだこうだと言うには早いよ。22勝29敗の10位か…。今日は負けてしまったが、今後は、もっと良くなっていくさ。
俺は8歳の頃からバスケをやって来た。とても背が高かったから向いていると思ってね。すぐに夢中になったし、自分の才能も自覚した。周囲の子と比べてデカ過ぎたから、シュートもリバウンドもブロックも、何でもできた。当時からNBA選手を目指してハードに練習したよ。夢を成し遂げたかったら、ハードワークするしかないんだ。
八村と俺が似てるって言う人がいる? どうかな…。俺がバスケ人生で最大の幸福を感じたのは、NBAドラフトで名前を呼ばれたことだ。その場所で長くプレーしているのも努力し続けているから、それだけ。八村もNBAで生き残りたいのなら、努力するしかない。
コービーの死は本当にショックだ。NBA屈指の名選手であり、彼はいつだって自信を持ってプレーしていた。誰もがコービーに憧れ、目標としていたよ…。何度も対戦したけれど、あれだけの自信があるってことは、裏付けとなる鍛え方をしているってことさ。そういうメンタルも尊敬できたね」
今、スパーズと八村の属するワシントン・ウィザーズはプレイオフに進出できない順位に置かれている。両チームの直接対戦は1勝1敗。チャンスは残っているが、現段階のNBAで強豪とは呼べない。
ルーキーイヤーのゲイは78試合に出場し、43回スタメンで起用された。八村は2月8日現在までに26試合のコートに立ち、そのすべてに先発出場している。どちらの一年目が評価されるか?
因みに、ゲイの現在の年俸は1450万ドル。八村は、どこまでゲイに迫れるか。