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元WBA/IBFライトフライ級王者が語った11月1日の統一戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
写真:山口裕朗

 2006年7月19日のデビューから2019年3月16日のラストマッチまでに、33度リングに上がり、27勝(12KO)4敗2分けの戦績を残した元WBA/IBFライトフライ級チャンピオンの田口良一(35)に、11月1日に行われたWBA/WBC統一タイトルマッチ、寺地拳四朗vs.京口紘人について訊ねた。

 田口は両者とスパーリングの経験があり、京口はジムの後輩でもある。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 「凄くいい試合でしたね。拳四朗の技術の高さと、京口の気持ちの強さが出ていました。感動しましたし、鳥肌も立ちました。純粋に凄いなと思いました。

 遠い距離、中間距離、近距離、どの間合いでも拳四朗は京口以上に巧く戦えていました。近距離なら、京口もどっこいどっこいにもっていけた場面もあったんですが……。

 京口は拳四朗への対策をしていましたね。上体を振って、ジャブとストレートを食わないようにガードを固めて、と。それが最善だったのでしょうが、拳四朗のジャブが上回っていました。あのジャブに対応できる選手って、今のライトフライ級にはいないと断言できるほど、ハイレベルなものですよ。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 自分は2012年と、2015年~2016年頃の計2度、拳四朗とスパーリングをしています。最初の時、自分はまだ日本ランカーで、彼はアマチュアでした。6ラウンドやったのですが、『プロ入りすれば、上に行く選手だな』と感じたことを覚えています。2度目も強かったですね。ジャブが上手かったし、固く、もらうと痛い、効くパンチでした。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 京口は5ラウンドのダウン後に出ましたよね。あわや、というシーンも出しました。本当に彼の気持ちの強さが出ていました。最強の相手に、ああいう風に向かっていくことだけでも見事です。京口は28歳とまだ若いですから、まだまだ伸びますよ。自分も30歳でいい試合だと言ってもらえる防衛戦をしましたし。

 京口がどういう選択をするか分かりませんが、これを機にもっともっと強くなると思います。ポイントを獲られていたとはいえ、拳四郎を相手に逆転勝ちいけるか!?と思わせたのですから、今日の試合でボクサーとしての成長が止まるということは無いでしょう。ファンの気持ちを奮い立たせる試合をやったんですから。

 ダウン後の記憶が飛び飛びとのことですが、記憶が飛んだような時って、自分が出ますよね。自分も世界チャンピオンになるひとつ前の試合でダウンをしたことを覚えていないんです。ガンガン攻めていましたね。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 2人はフレームが違いました。京口はミニマムから上げた選手で、拳四朗はスーパーフライまでは行けるんじゃないですか。

 拳四朗は今、敵なしでしょう。4団体制覇できるでしょうね。フライに上げて、更にスーパーフライに上げたら、中谷潤人選手など、彼を脅かす存在が現れるのではないでしょうか」

 田口良一も井上尚弥に敗れた試合を糧に大きく成長した。京口も初黒星を肥やしに、また強くなって復活してほしい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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