石油、石炭、天然ガス、原子力…主要国の種類別発電量構成比率を確認する
電気は現代社会を支える主なエネルギーであり、ゆえにその電気の電源種類別発電電力量構成を確認すれば、その国の経済・政治体系がすけて見えてくる。主要国における電源別の、発電電力量の構成の視覚化を行い、それを確かめてみることにする。
今グラフは電気の発電様式を主要な発電方法、具体的には石炭・石油・天然ガス・原子力・水力・その他に区分し、それぞれの発電「量」(瞬間時の能力を示した「能力」ではない)を総計電力量比で示したもの。IEA(国際エネルギー機関:International Energy Agency)が毎年発行している「ENERGY BALANCES OF OECD COUNTRIES」と「ENERGY BALANCES OF NON-OECD COUNTRIES」が一次ソースとなる。
特徴を箇条書きにすると
・カナダ、ブラジルは水力発電の比率が高い。自然を有効に活かしている。特にブラジルは3/4が水力で占められている
・イタリアには原子力が無い。国策による結果
・イギリス、イタリア、ロシアなど欧州地域は天然ガスに寄るところが大きい
・中国やインドなどの新興国では石炭傾注度が高い
・フランスでは3/4を原子力に頼っている
などが挙げられる。一方各国のエネルギー事情としては
・イタリアは1987年に脱原発政策が国民投票で決定してから、原発ゼロを貫いている。現在では方針転換を二度繰り返し、結局原発ゼロは継続
・フランスはエネルギー面でも独立独歩的な政策を現実のものとするため、他国に関与されにくい原発を促進している。一時的に大きな方針転換が行われる可能性が出てきたが、現在ではその動きも沈静化している
・中国は電力の3/4を石炭から得ているが、これは石炭が安価で経済性に優れているから。ただし環境面での負担も大きい
などがある。それらが電力量構成にそのまま反映されている。
ちなみに石油のほとんどを輸入に頼っている日本だが、電力発電用としての比率は今回取り上げた国の中では最大値を示している。これは2011年3月に発生した震災とその後の政情的混乱により原発の稼動が止められ、不足した電力を火力発電所で補うための結果によるものである。
上のグラフは今回直近となった2012年の値と、前回年の2011年の値を比較したものだが、日本で原発の停止により原子力の割合が大きく削られ、その分を石炭や石油、天然ガスで補っている状況が一目で分かる。また、アメリカではシェールガスの開発が進み、発電にも大いに役立てているようすがうかがえる。
当然のことながら電気そのものは目に見えることは無く、コンセントにも「原材料は●×です」と書かれているわけではない。発電の原材料で電気の質に違いが生じるわけでもない。インフラがしっかりと安定的に整備されている中で日々を過ごせる、「当然のように繰り返される日常」、そのインフラを絶えず支えている関係者に感謝をしつつ、電気が作られた「素」に想いを馳せることをお薦めしたい。
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