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HYBE内紛 "勝負の24日"へ ミン氏が記した渾身の長文「NewJeansへの思い」「戦う理由」

(写真:ロイター/アフロ)

4月22日にソウルで勃発した「HYBE内紛」がきょうで1か月となった。

現在はもっぱら、24日に行われる「再審問」に向けた攻防が続いている。内紛全体の大きな流れが決まる裁判所での話合いだ。

5月7日にミン氏側が自らが裁判所に提出した、親会社HYBEによる「解任権行使停止の仮処分申請」に関するものだ。当初は17日に結論が出るものと見られたが、話合いが紛糾 24日の再審問に裁判所の決定が委ねられることとなった。

これに際し 5月19日にADOR代表取締役ミン・ヒジン氏が韓国で長文プレスリリースを発行した。

「NewJeansへの愛情」「戦う理由」が記されたミン氏によるプレスリリース全文

改めて自らの立場を表明。本人が直接心情を綴るのは 4月25日の「歴史的」とも言われた記者会見から約1か月ぶりのことだ。

ミン代表は「誤解を最小限にし、(17日)法廷でHYBE側が主張した虚偽の事実について訂正が必要なため」文章を記したと述べている。要は「24日に向けてあれこれと噂が立っているが、私も言うことがある」ということ。

現在の攻防は、再審問へ向けた「世論戦」の様相を呈しており、特にHYBE側から「ミン氏が乗っ取り、もしくは独立を企てた動き」としていくつかの情報が呈されている状況。

その中でも19日のリリースでは、最初の審議があった17日当日に報じられ、審議でも突如HYBE側が主張した「NAVERとDunamuの担当者との食事会合」について言及されている。両者に対し「ADORを買収してほしい」と持ち掛けたというものだ。

ミン氏はこれについて「友人に誘われたプライベートの食事会に両社の方が居合わせたもの」とした。確かにお金の話にはなり、その後ADORの副代表と「こういう人たちが会社を持ってくれればいいね」とやりとりを行ったことを認めている。しかし、それは「HYBEで働くことの苦しみから出た愚痴や妄想のようなもの」であり、「現実的にはHYBEに話をしなければ不可能だということは明らか」とした。また監査を通じて得たミン氏のこういったやりとりを公的に暴露する不当性も主張した。

さらに状況をミン氏らしい言い回しでこう表現している。

「人には様々な社会的地位があり得ます。社長、弁護士、医者、先生など。例えば学校の保護者会なら、どんな投資会社の代表が出てきたとしても、その集まりは(あくまで)保護者会であって、弁護士ミーティングや投資家ミーティングにはなり得ません」

NewJeansへの思い「苦しみを経てより強固に」

一方、ミン代表は改めてNew Jeansのメンバーとの関係について、次のように語った。

「New Jeansと私は、皆さんが知り得ない数多くのことと様々な状況を経験してきました。他の人が想像できない私たちだけの多くのことがあり、それによって私たちの関係はより強固になりました。偏見に満ちた環境で、若い子たちと一緒に他人のお金で事業をするということは想像以上に苦しく、難関を乗り越えなければならないことでした」

写真:ロイター/アフロ

「だからNew Jeansと私の関係は、皆さんがどんな考えをお持ちでもその考え以上の関係だと説明せざるを得ません。切り貼りされたメッセージで攻撃された直後 メンバーたちは私を慰める愛に溢れたメッセージを送ってくれました。私が声を上げて泣いたのは、この状況に置かれた全ての人々がこのような最悪のくだらないことを経験しなければならないのが残念だからです」

また、今回の件でHYBEと戦っている理由についてもこう話している。

「私が(ADOR代表職やNewJeansのプロデュースを)諦めればいい、と誰かは簡単に言うかもしれませんが、私の性格に合わせもう一度考え、そして私たちが経験してきた状況を考えてみるとそうすることはできません」

「適当に妥協しながら働けば(2026年11月に終わるADOR代表取締役職の)任期を終えた後、十分な金銭的報酬が保証された状態でした。それにもかかわらず危険を覚悟しながら(ILLITのコピー疑惑についてHYBEに対して)内部告発を進めたのは、守りたい価値があるからです。お金が目的の人がわざわざ苦労して内部告発をしながら戦い、最終的にHYBEの承認が必要な、法的に不可能な方法(乗っ取りや独立)を企てるでしょうか。つじつまが合いません」

「今、私たちは法理争いの渦中にあります。事実関係に基づいた裁判官の判断(24日の再審議)を待たなければならない時期なのです。HYBEが本質から外れた話題を悪意的に引っ張り出して捏造し、誘導することにはもう飽き飽きしていますが、このような行いが許されれば、今後、私以外にも適用されうることが、さらに恐ろしい。だから諦められません」

自らはK-Pop業界での「売り上げとメンバーのメンタル保全」の難しさを経て、幾度も「立ち去りたい」と思ったと綴る。そんな苦悩を乗り越えた結果にたどり着いたHYBEの「捏造」が許せないからだという。

4000字を超える長文の立場表明を通じ、ミン・ヒジン代表の現在の心情や、韓国で重大に捉えられている点(買収を他社に持ちかけようとした噂)が明らかになった。両者の争いは、24日にどんな決定が待っているのか。注目が集まっている。

筆者作成
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吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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