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なぜバルサは“復活”したのか?中盤の豊富なタレントと冬の補強の成果。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶバルサの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

復権に向けて、動き始めている。

バルセロナが調子を取り戻している。リーガエスパニョーラで4位に位置。ヨーロッパリーグでは決勝トーナメント1回戦でナポリを破りベスト16に進出した。

バルセロナは今夏、リオネル・メッシがパリ・サンジェルマンに移籍した。チームの状態は上向かず、シーズン半ばにロナルド・クーマン前監督が解任され、代わりにシャビ・エルナンデス監督が就任した。

メンフィスのゴール
メンフィスのゴール写真:ロイター/アフロ

「良いプレーができるという希望を抱いている。このチームを見ていると、モチベーションが湧いてくる。偉大な何かを成し遂げられる要素はあると思う。だが謙虚にいかなければいけない」

「(ナポリ戦に関して)最も完璧な試合だったかもしれない。我々は試合を支配しようとした。そして、実際にそうなった。高い位置でプレッシングを行い、ビルドアップではフリーの選手を見つけられていた。私は満足している」

これはシャビ監督の言葉だ。

■中盤の構成

現在のバルセロナを支えているのは、中盤の構成力だ。

ペドリ・ゴンサレス、フレンキー・デ・ヨング、ニコ・ゴンサレス、セルヒオ・ブスケッツ、ガビ…。バルセロナの中盤には、タレントが揃っている。

中盤のペドリ
中盤のペドリ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

黄金期のバルセロナにおいては、シャビ、ブスケッツ、アンドレス・イニエスタが中盤に君臨していた。

「いまの若い選手が自分たちを乗り越えていってくれることを願っている。彼らがベストの選手になって、我々により喜びを与える存在になって欲しい」とはペドリ、ガビ、ニコといった選手たちと黄金の中盤の比較について問われた際のシャビ監督のコメントだ。

変化が生じているのは、得点の場面だ。今季、クーマン政権で、バルセロナの中盤の得点の割合は15%だった。シャビ政権では、31得点中10得点(EL決勝T1回戦終了時点)を中盤の選手が挙げている。33%をミドルゾーンのプレーヤーが記録しているのだ。

■補強の成果

また、バルセロナは今冬の移籍市場で積極的な補強を行った。

アダマ・トラオレ、ダニ・アウベス、フェラン・トーレス、ピエール・エメリク・オーバメヤンが加わった。

最もインパクトを与えているのが、トラオレだ。“戦術トラオレ”と形容したくなるほど、バルセロナの右サイドの攻撃を活性化させている。スピード、1対1の強さ、突破力…。トラオレが相手D Fを1枚剥がすことが前提でバルセロナの攻撃が成り立ってきており、なおかつナポリ戦で見せたようにカウンターでも威力を発揮している。

オーバメヤンやアウベスの獲得には、懐疑的な目を向ける者もいた。32歳のオーバメヤン、38歳のアウベスの加入というので、未来に視点を置くのは難しかった。とりわけアーセナルでミケル・アルテタ監督との関係が悪化してプレータイムが減っていたオーバメヤンに関しては、獲得に疑義が挟まれた。

だがオーバメヤンはリーガ第25節バレンシア戦でハットトリックを記録。アーセナル(2018年夏―2022年冬)で163試合92得点と示していた決定力は健在だった。

バルセロナのシャビ監督
バルセロナのシャビ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

バルセロナは補強を成功させたと言える。将来有望な若手選手やカンテラーノも出てきており、復権へ希望の光はともっている。

ただ、「まだ何かを成し遂げたわけではない」とシャビ監督が語るように、シーズン終盤に厳しい戦いが待っている。ラ・リーガでのトップ4入り、ELのタイトル奪取が本当の復活に向けて重要なのは言うまでもない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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