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「ブログオブザイヤー」優秀賞のシングルマザー芸人が考える子育て流儀

中西正男芸能記者
芸人、介護福祉士、シングルマザーとして奮闘する柏崎桃子さん

先月発表されたアメーバブログの「ブログオブザイヤー2016」で、福原愛さん、芳根京子さん、ぺこさんらとともに、注目を集めたブロガーとして優秀賞を受賞した柏崎桃子さん(37)。芸人、介護福祉士、そして、シングルマザーとして奮闘する姿を綴ったブログ「どすこい!!柏崎桃子の諦めたら試合終了だよ!!」が評価されての選出となりました。ここまで活動を続けてきた原動力はただ一つ。「子どもに逃げる姿は見せられない」という思いでした。

50万円払う…大きな決断

ブログオブザイヤー、最初に聞いた時は本当にびっくりしました!数年前までフツーの主婦だったので、まさかこんな賞をいただけるなんてと。震えました(笑)。

そもそもの話で言いますと、17歳、高校在学中に妊娠と結婚をして、24歳で離婚をしたんです。そこから、仕事をしながらシングルマザーとして息子を育てていくんですけど、息子には発達障害がありまして。何回も、何回も、育児の壁にぶち当たりました。当たり前と思われることができなかったり、周りからなかなか理解が得られなかったり…。ずっと、どこにも出せない思いをため込みながら子育てをしてきました。

そして、息子が中学校に上がる頃、息子もそうですし、少しでも社会で困っている人の役に立てればと思い、資格を取って介護の仕事に移ったんです。介護福祉士として、100人ほどの方々の介護をするようになって、それはそれで非常に充実した仕事ではあったんですけど、目の前の限られた人たちだけでなく、もっと広い範囲で困っている人の手助けができないかという漠然とした思いもあったんです。そんな中、施設にモノマネタレントさんが慰問に来ていただき、ステージを見た瞬間、ハッと思ったんです。「これだ…」と。

それが2011年のことだったんですけど、すぐにワタナベエンターテインメントのスクールに応募しました。幸い、すぐに連絡があって入学することになったんですけど、リアルな話、授業料が50万円かかると…。手取り20万円くらいで息子との生活をやっている中、何がどうなるか全く分からないものに対して、まとまったお金を払う。この重みはすごく大きかった。ただ、困っている子供たち、お年寄り、いじめを受けている人、障がいがある人…。今、つらい思いをしている人たちを少しでも楽しい方向に向いてもらいたい。その思いで50万円を払いました。この決断、自分にとっては、とても、とても、大きなものでした。正直な、正直な話(笑)。

子どもに示しがつかない

ただ、それまで芸人的な活動をしていたわけでもなく、ネタがあるわけでもなく、一からのスタート。結果、スクールの中でトップクラスの評価を得た人だけがワタナベにタレントとして所属できるんですけど、そこには入ることができませんでした。

ここが芸人としての一つの挫折ポイントでもあったんですけど、ここで辞めたら私の夢はそんなに小さなものだったんだということにもなってしまう。困っている人を助けたいという思いは、決して偽善的なものではなかったんだぞという思いもありますし、ま、50万円も出してましたし(笑)。

そして、なにより、なにより、子どもに「芸人をやる」って言ってましたから、ここでひくわけにはいかない。逃げるわけにはいかない。子どもがなかなかうまくいかず弱音を吐いたら、その都度「頑張れ、負けるな」って言ってきた。それなのに、自分がそこでやめるわけにはいかないですから。なんの示しもつかないし。私はアホなので(笑)そうやって見せるしかないと思って、介護の仕事を続けながら、芸人としての活動、そして、芸人を目指す前からやってきたブログも日々更新していったんです。

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アクセス数が15万に!

すると、2015年に「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で私のブログのことを取り上げてくださったんです。それまで多くて1000くらいだったアクセス数が放送後には15万になりました。

そして、驚いたのは、最初は番組で取り上げてもらったからアクセス数やブログの順位がポンと上がるのは分かるんですが、ま、言っても、そのうち落ちてくるもんだろうと思っていたら、そんなに下がらなかったんです。その流れを見て「あ、これだけ育児のことで悩んでいる人がいるんだ…」と逆に気づかされました。自分が書いていることを見てくださる方がそれだけいるんだったら、より力を入れて書き続けようと。その結果、今回の受賞にもつながった。やり続けることは何かを生む。それを少しでも息子に見せられたなら、うれしいことだと思っています。

ポップな部分も見てほしい

今、ブログではすごくまっすぐな思いを伝えていて、ある意味、まじめなトーンのことを書いているので、これからは、私の芸人としてのポップな部分、そこも見てもらえればなと思っています。ということは、どんどん、番組に出たいです(笑)。よろしくお願いします!そして、もちろん、とんでもなくお金はかかりますけど、最終目標としては、総合的な介護施設が作れればと夢は大きく描いています。いつの日か、そんなことができればなと。

あと、当面の目標としては、今、街を歩いていると、モーレツな勢いで「メイプル超合金」の安藤なつさんに間違われるので、そこを間違われないようにしたいと思っています(笑)。

■柏崎桃子(かしわざき・ももこ)

1979年7月31日生まれ。栃木県出身。本名・同じ。SHUプロモーション所属。身長165cm、体重105kg。高校在学中、17歳で妊娠し長男を出産。24歳で離婚を経験し、シングルマザーとしての日々を送る。長男が軽度発達障害で、育児の悩むエピソードを綴ったブログが話題に。現在は介護福祉士として働きながら「さらに、多くの人を笑顔にできたら」との思いから、芸人としても活動。2015年、日本テレビ系「月曜から夜ふかし」でフィーチャーされ、話題を呼ぶ。オフィシャルブログ「どすこい!!柏崎桃子の諦めたら試合終了だよ!!」はアメーバブログの「ブログオブザイヤー2016」で優秀賞を受賞した。4月1日からはオンラインサロン「2丁目9番地ももち公園」をスタート。4月14日にはAbemaTV「Wの悲劇」に出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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