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【河内長野市】あかしあ台のデイサービスバス空き時間を活用!楠小学校区で巡回バスが始動しました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

統計を見る限り、河内長野は将来的にもっと高齢者が増えるということは免れないといわれています。私のように公共交通にこだわっている場合はまだしも、多くの人は河内長野に住もうとすると車がないと厳しいような話を聞きます。

楠ヶ丘への移動支援として運行されている地域タクシーのくすまる
楠ヶ丘への移動支援として運行されている地域タクシーのくすまる

とはいえ、高齢者の場合は免許返納の問題もあって、いつまでも車の運転ができるわけではありません。

そうなると移動が困難となってしまい、日常の買い物もできなくなる恐れが出て来たということで、自治体がいろいろな策をめぐらせています。画像の南花台のクルクルもそのひとつですね。

そして楠小学校区でも、その問題を解決しようという試みが行なわれるという情報を得ました。楠小学校区は、最近は室内で子どもが安心して過ごせる「あきち」をオープンさせていましたが、今度は高齢者向けと年代を問わず住み良い町づくりに頑張っていますね。

それがこちらの「楠小学校区巡回バス」です。あかしあ台を拠点に、桐ヶ丘、松ヶ丘、楠町、ライフ滝谷店、千代田駅、コノミヤ河内長野店を巡回する予定とのこと。

広報かわちながの6月号23ページでも紹介
広報かわちながの6月号23ページでも紹介

ぜひ取材したいと関係者にお願いすると、初日に出発式が行われると教えてくださいました。

出発式が行われる日、いち早く向かったのはコノミヤ河内長野店です。実際にこのコノミヤから出発式が行われるあかしあ台を歩くことで、高齢者が巡回バスを利用できることがどれだけ楽なのか、身をもってがわかりました。

コノミヤからあかしあ台方面には、中高野街道や西高野街道と呼ばれる古道がありますね。それから途中には貴望ヶ丘という住宅地があります。

小走りに歩いてみましたが、コノミヤからあかしあ台までおよそ20分くらいかかります。坂道もあるため、買い物の荷物を持って歩くとなると人によっては1時間近くかかるかもしれませんので、確かに体力的にきついもの。そのため、巡回バスがあるととても便利です。

途中、貴望ヶ丘のバス停の前を通過しました。後で気づきましたが、この辺りは南海バスがあり、千代田駅や西友などがバスのルート上にあります。さらに昼間であれば泉北の泉ヶ丘駅に向かうルートでもあるので、この辺りには巡回バスは走りません。

さて、あかしあ台にある特別養護老人ホームあかしあが見えてきました。今回の巡回バスはここを拠点に運行します。その理由として、巡回バスは、本来老人ホームのデイサービスなどへの送り迎えに使用するバスだからです。

特別養護老人ホームあかしあを運営している社会福祉法人 恩徳福祉会(外部リンク)は、大阪府(北部、中部、南部)、兵庫県の山陽地域と沖縄に拠点があります。

あかしあ台では、特別養護老人ホームのほか、介護老人保健システム、短期入所生活介護、短期入所療養介護、デイサービスセンター、通所リハビリテーション、訪問介護、訪問リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と、広い福祉を手掛けているとのこと。

朝と夕方にデイサービスの利用者向けに運用しているバスとその運転手は、昼間は時間が空いています。「それならば」ということで、その時間帯に巡回バスを走らせれば買い物をしたい高齢者にとってまたとないタイミングというわけだったのです。

コノミヤから歩いて来たために、不覚にも式典の終わりごろに現地に到着し、すでにくす玉は割れてしまっていました。こんなことを書くと市や福祉協議会の重鎮や幹部に怒られるかもしれませんが、今回の取材の目的はあくまで巡回バスの試乗体験です。

とりあえず、皆さんの記念撮影には間に合いました。さて巡回バスを運行することになったのは、地域住民の要望を聞いた府議が恩徳福祉会の理事に提案をしたことがきっかけとのこと。理事が市長との間での話し合いを重ね、ほかの自治体で同様の事例があることを元に話が進みました。

こうして恩徳福祉会が巡回バスの運行主体となりましたが、地域(あかしあ台・桐ヶ丘・松ヶ丘・楠町)住民と恩徳福祉会との間で「楠小校区移動支援を考える会」を結成し、施設利用者がいない昼間に運行バスを走らせることになりました。実質的な運用計画や活用方法にについては、社会福祉協議会と地域の住民が主体となっているそうです。

社会福祉法人 恩徳福祉会の大鳥知秀業務執行理事
社会福祉法人 恩徳福祉会の大鳥知秀業務執行理事

例えば、この地域の高齢者がよく利用するスーパーは、地理的にコノミヤとライフなのですが、コノミヤは月曜日に割引サービスをしているとのこと。そのためもあって、とりあえず毎週月曜日に運行しようとなったのです。その他、細かい運行ルートも地域の人の意見が反映されています。

つまり巡回バスの運用については、行政や社会福祉協議会、老人ホームを経営する社会福祉法人といった福祉の専門家が決めるのではなく、住んでいる人に決めてもらおうとなっているのです。

お試し運行なので今後どうなるかはわからないものの、実際に運用しながらいろいろ調整しようということです。いちばん影響あるのが住んでいる人ですから、その人たちの意見が最重要なわけですね。

こちらが現在の運行図です。ぐるりと回るというよりジグザグな動きをするようですが、これは住んでいる人の意見をもとに決められたルートです。

黒線がバスのルート、赤線は市境
黒線がバスのルート、赤線は市境

手書きの地図をもとに書き起こしてみました。⓪番は式典のあったあかしあ台特別養護老人ホームで、番号の位置に巡回バスのバス停があります。これを見ると児童公園や個人の方の駐車場などがバス停となっていて、待っていても安全なところが選ばれています。

そしてライフは⑥番でコノミヤ⑧番、途中⑦番は南海千代田駅ですが、千代田駅は鉄道に乗り換えるのに利用できるというよりバスが止めやすいロータリーになっていることもありますし、駅前にディオというスーパーがあります。また少し歩けば西友などもあるので便利な場所ですね。

式典が終わったところで、さっそく実際に試乗してどういうルートを走るのか確認することにしました。

後部座席の様子です、本来デイサービスなどで利用するために用意されている車なので、車いすなどが入れるようなスペースがあります。

記念すべき第1回目の運行では、ひとりのご予約があるとのことです。

その人の邪魔にならないように助手席に座りました。

最初なので見送られながらの出発です。

住宅地を走っていきます。運転手さんの話では、今回は⑥番のコノミヤに行く人だけなので、通常のルートとは違う道で直接コノミヤに向かうとのこと。このように杓子定規にルートを走るのではなく、その時の状況に柔軟に対応するというのも素晴らしいですね。

この辺りは通常ルートです。お客さんの待っている拠点に向かいます。

お客さんが待っていました。巡回バスが止まります。

そしてバスに乗車するのですが、ここで運転手さんが迅速に、そして的確にサポートします。これはデイサービスでやっているからとのことですが、こういうサービスは、主に巡回バスを利用すると思われる高齢者にとっては、とてもありがたいことだと思いました。

お客さんを乗せたバスは再び走り始めます。先ほども書いた通り、途中からはいつもとは違うルートを通るとのこと。

お客さんにもお話を伺いました。コノミヤ河内長野店は毎週月曜日に全品10%割り引きを実施しているので、月曜日に買い物に行くそうです。

今までは、知り合いに車で送ってもらって買い物に行っていたそうですが、やはり気を遣うといいます。この気持ちは良くわかります。私も地元の人からよく送ってくれるという話を申し出てくださいますが、荷物の多いときや夜遅いとき、方向が同じなどの特別な事情がない限り「申し訳ないから」とお断りすることは多いです。ガソリンや電気代もかかりますからね。

今回巡回バスについては、地域の老人会から話があったからだったそうで、停留所の場所やおおよその時間を教えてもらって利用したそうです。今回は試験運行なので無料ですが、将来的に有料になっても「その方が気を遣わずに済みます」と、お客さんは言われました。

て、遠くに「河内長野市」と書いた看板が見えてきました。そうなんです、実は大阪狭山市を走っていたのです。

これが市のコミュニティバスなら市の外を走るのにいろいろありそうな気がしますが、巡回バスは民間の福祉法人のバスなので、そういったしがらみも無いようです。実際にライフ滝谷店は境界線とはいえ、富田林市内にあるスーパーです。

この辺りは西高野街道を走っています。地図を見ると中高野街道も通るようです。

今回はイレギュラーなルートだったため画像のところは通りませんでしたが、こちら西と中野高野街道が合流する四つ辻を巡回バスは通ります。画像で見ると左上から右下にかけて続いている道が西高野街道で、真正面に続いている道が中高野街道です。

地図で見るとこんな感じです。西高野街道をヤクルト販売千代田センター方面に向かうバスは、そこを過ぎた駐車場で途中折り返して中高野街道に巡回し、千代田駅やコノミヤ、ライフに向かいます。帰りも逆方向に運行するようです。

広い道路に出てきました。

コノミヤ河内長野店が見えてきました。

コノミヤの駐車場に入ります。

ここでお客さんがバスを降りますが、やはり運転手さんがサポートします。どのくらい買い物に時間がかかるかなどの話をして、帰り・お迎えの時間の調整などを行っていました。痒い所に手が届く様なサービスですね。

こうしてお客さんは、割引サービスでにぎわうスーパーの中に吸い込まれていきました。

ここからあかしあ台に戻りますが、運転手さんが悩みました。バスが画像の制限のある所を潜れるかどうかわからないとのこと。

何度か確認して無事に潜れることを確認しました。今までと違い、スーパーに巡回バスが行くので新しいことも多く、こういった経験のひとつが、巡回バス運行のためのノウハウになるのかなと思いました。

さて、帰りに運転手さんにもインタビューしました。これまでは主に70~90歳代までのデイサービスを担当しているそうで、河内長野全域に加え、狭山や富田林も担当しているとのこと。

運転手さんも初めての運行なので、先ほどの潜れるかどうかの確認なども含めて試行錯誤中という感じでした。

それでも、狭い道を軽快に走っていく巡回バス、デイサービスの送迎で鍛えた運転スキルの高さを感じました。

あかしあ台の特別養護老人ホームの前に戻ってきました。

ということで、特別に乗車体験をさせていただきました。関係者の皆さんに感謝いたします。すでに地域の皆さんには周知していると思われますが、このように巡回バスの運行がスタートしています。使わないと意味がありませんので、買い物などの移動の時に積極的に利用してみてはいかがでしょう。

さて、今回は通らなかったルートを最後に紹介します。コノミヤ河内長野店からはその先にあるライフ滝谷店まで運行します。踏切の先、中央左手にライフのマークが見えます。

そして楠小学校の近くにあるヤクルト販売千代田センターです。ここにも巡回バスの停留所があり、少し先で折り返します。

そこからバスの折り返し点まで歩くと、その先に千代田ショッピングセンターの西友が見えました。西友に行くために巡回バスは使わないかもしれませんが、その気になれば西友やばんばんにもいけます。余談ですが、河内長野はほんとうに食品スーパーが多いですね。

特別養護老人ホームあかしあ(楠小学校区移動支援を考える会・楠小学校区巡回バス)

住所:大阪府河内長野市あかしあ台2-6-15

運行日:毎週月曜日

運行時間:10:00、11:30、13:00 の1日3回

料金:無料

※試験運行中の為、変更の可能性あり

アクセス:南海・近鉄河内長野駅、南海千代田駅からバス 貴望ヶ丘バス停から徒歩2分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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