大学生の仕送り額、国立・公立・私立でどこまで変わる!?
大学生活では高校までと比べ、学業・私生活共に相応のコストがかかる。実家通いはもちろん、一人暮らしで過ごすとなれば、家賃をはじめとした生活費もかさむ。そのコストをまかなうためにアルバイトに励み、実家からの仕送り(家庭給付)を受け、やりくりをする。今回は大学生における収入のうち、この「実家からの仕送り」などの家庭給付について、独立行政法人日本学生支援機構が2014年2月に発表した「平成24年度学生生活調査」の内容を基に確認していく。
平均的な大学学部、昼間部における収入事情は次の通り。実家通い、一人暮らしも合わせたもので、あくまでも平均だが、直近の2012年では約122万円。
気になるのは国立・公立・私立それぞの大学種類別の仕送り額の違い。一般的な話として、そして今調査の結果(平均値)でも、学費は国立がもっとも安く、やや上乗せする形で公立、そして私立が大幅高な状態。当然仕送り額は私立の方が高くないと、学生側の生活が成り立たなくなる。
次にあげるグラフでは、その大学種類別・仕送り額について、2000年以降の推移を描いている。
学費は国立が一番安いが、仕送り額は公立の方が安い。これは今数字が「自宅(実家)」「下宿」合わせた上での平均値であること、そして「自宅」通いの割合は公立の方が高いのが原因。「自宅」通いの場合は必要となるコストが安く済むので、保護者から受け取れる生活費も抑えられてしまう(実家通いにも関わらず、親からの「家庭給付」を一人暮らし並に求めても、叱られるのがオチ)。ただし額の差異は10万円内外に収まっている。
一方、私立大学の仕送り額は公立・国立と比較して30万円から40万円台の差が出ている。それだけ学費に圧迫されているのだから仕方ない。実際に国立・公立の大学生と比べて、仕送り額が多いのにも関わらず、平均的な私立大学生は厳しい生活をしているようすが確認できる。
↑ 2012年度における大学種類別学生生活費(年間、万円)
学生生活費に占める生活費は、国立が57%、公立が54%、そして私立は33%に留まっている。額面で見ても、私立は国公立と比べて10万円単位で少ない額となっている。
元々私立大学は費用がかかるため、世帯収入が高めな世帯の子供が通う傾向が出てしまう。それでもなお、仕送り額が大きく違うこともあり、家庭にかかる負担は大きい。
2012年では国立・公立大学では11%から12%台なのに対し、私立では16%近い値を示しており、4%ポイント程度の差が出ている。それだけ私立大学に通う子供を持つ世帯では、家計が圧迫されていることになる。
グラフ記述の該当期間では消費者物価指数はあまり変化が無いことも合わせて考えると、学生の生活が厳しさを増していることは容易に想像がつく。私立における「年間収入に占める家庭給付額の割合」が減っている原因は「大学生の自宅・下宿割合の推移をグラフ化してみる」でも記したように、実家通い率が漸増しているのも一因だが、それでも、学生、そして実家でもそろばん勘定に頭を痛めている状況が続いていることには違いあるまい。
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