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【京都市上京区】北野の天神さんは本殿の「裏の社」も面白い! まだまだある七不思議 

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「北野天満宮の縁日になると決まって現れる一人の老人がいた。境内の出店の者に小さな餅を五、六個売ると去って行く。……薄い餅皮にあんを包んだ上品な餅で次第に評判になった。……『河内屋長五郎』と名乗った。天正15年(1587)年10月、……豊臣秀吉は北野天満宮の松原で大茶会を催すことになり、……長五郎も茶屋を出し、秀吉に餅を献上したところ大層気に入られ、以後、長五郎餅と名乗るべしと命名されたという。」(長五郎餅HPより)

「長五郎餅本舗」
「長五郎餅本舗」

 現在も北野天神東門に店を構える「長五郎餅本舗」の由来話です。2022年2月25日、菅原道真や豊臣秀吉の遺徳をしのび開かれていた梅花祭の日、おうすと一緒にいただいた長五郎餅は由来にある通りの変わらぬ味で美味しい。茶に合うお菓子とはこのことですね。今回は東門から入って、本殿の裏側も紹介したいと思います。東門(ひがしもん)は、豊臣秀頼が1607年(慶長12年)に造営したもので、国の重要文化財に指定されています。

長五郎餅とおうす
長五郎餅とおうす

 長五郎餅本舗の直ぐ北側、末社の竈社(かまどしゃ)は、その名の通り台所の守り神。祭神は、火を司る「火産霊神(ほむすび の かみ)」、家庭の守護神とされる「庭津彦神(にわつひこ の かみ)」織物の神様とも云われる「庭津姫神(にわつひめ の かみ)」となります。毎年6月17日に例祭が行われます。

台所の守り神
台所の守り神

 北野大茶湯にちなみ、北野天満宮では毎年12月1日に輪番で献茶祭が斎行されます。この献茶祭を保存し、また流儀を超えた親睦の場として、北野天満宮献茶祭保存会があります。竈社に併設する茶室「明月舎」は広々とした待合と、赤松の皮付柱などが魅力。庭からはあまり手を加えていない自然の庭が伺えます。

茶室「明月舎」
茶室「明月舎」

 本殿直ぐ裏側にある末社の老松社 (おいまつしゃ)の祭神は「島田忠臣(しまだただおき)翁」です。島田忠臣は、菅原道真の家臣もしくは岳父と伝えられる人物です。

末社の老松社 前の梅
末社の老松社 前の梅

 地主神社(じぬしじんじゃ)は、現在は北野天満宮の摂社となっていますが、実は、北野天満宮の鎮座以前に創建され、続日本後紀には「承和3年(西暦836年)2月1日、遣唐使のために天神地祇(てんじんじぎ)を北野に祭る」と記されています。主祭神は「天神地祇」(天地すべての神々)です。現在の地主神社の社殿は、豊臣秀頼の造営によるものですが、北野天満宮の創建時には、地主神社の正面を避けて本殿を建てたため、本殿は左にそれ、この地主神社が正面に鎮座しています。

地主神社(じぬしじんじゃ)
地主神社(じぬしじんじゃ)

 御后の三柱は、本殿の裏側にある「裏の社」。こちらは菅原道真ではなく、その祖先三柱を拝する場所となっています。菅原氏の祖神として祀られている天穂日命。道真公の祖父であり、遣唐使として空海・最澄・橘逸勢らとともに唐に渡った菅原清公卿。道真の父で、十一歳の時、嵯峨天皇の前で書を読み詩を作ったという秀才、菅原是善卿です。

御后の三柱
御后の三柱

 まだまだ奥深い北野天満宮、北門や東門からの裏参拝もありかも!

北野天満宮 地主神社(外部リンク) 京都市上京区馬喰町 北野天満宮 075-461-0005

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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