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球場の土を記念に持ち帰る。高校生ではなくメジャーリーガーが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・バシット(トロント・ブルージェイズ)Jun 7, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月7日、クリス・バシット(トロント・ブルージェイズ)は、オークランド・コロシアムのマウンドに上がった。試合は、オークランド・アスレティックスがサヨナラ勝ちを収め、ブルージェイズは1対2で敗れたものの、バシットは、8イニングを投げ、暴投による1点しか取られなかった。

 アスレティックスのビート・ライター、MLB.comのマーティン・ガイエゴスは、Xにこう書いている。「8回の最後に、クリス・バシットはミゲル・アンドゥーハーから三振を奪うと、コロシアムのマウンドから土をつかみ、それをポケットに入れた。「この場所に再び来ることがあるかどうか、わからないから」とバシットは言った」

 バシットは、35歳のベテランだ。もっとも、今シーズン限りで引退するわけではない。ブルージェイズと交わしている3年6300万ドルの契約は、来シーズンまでだ。

 一方、予定どおりにいけば、アスレティックスがオークランドを本拠とするのは、今シーズンが最後となる。2025~27年のサクラメントを経て、ラスベガスへ移転する。予定が変わることは、まずない。

 今シーズン、ブルージェイズがオークランドを訪れるのは、6月7日~9日だけだ。現時点で30勝33敗(勝率.476)のブルージェイズはともかく、26勝39敗(勝率.400)のアスレティックスがポストシーズンへ進むことはないだろう。バシットが再びコロシアムで投げる機会があるとすれば、ブルージェイズがさらに低迷し、夏のトレードでバシットを放出した場合くらいだ。

 バシットは、メジャーリーグ1年目を終えた2014年のオフに、トレードでシカゴ・ホワイトソックスからアスレティックスへ移り、2022年の開幕前に、こちらもトレードでアスレティックスからニューヨーク・メッツへ移籍した。

 コロシアムでは、アスレティックス時代にメッツ時代とブルージェイズ時代を合わせ、先発43登板とリリーフ6登板の計282.1イニングで防御率2.36を記録している(ホワイトソックス時代はコロシアムで投げていない)。ブルージェイズのゲーム・ノーツによると、コロシアムで250イニング以上を投げ、バシットよりも低い防御率を記録した投手は、1968~78年に319.0イニングで防御率2.29のポール・リンドブラッドしかいないという。

 バシットのコロシアムにおける防御率は、6月7日の登板により、2.39から2.36となった。それまでは、1968~79年に1095.1イニングで防御率2.39のキャットフィッシュ・ハンターが2位、バシットは3位だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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