どう選ぶ?洗剤の選び方と汚れ落ちがUPする3つのテクニック
洗濯研究家の平島 利恵です。洗濯研究家というと「どの洗剤が一番いいの?」とよく質問をされます。皆さんは、どのように洗濯洗剤を選んでいますか?もしかすると洗剤難民の方もいらっしゃるかもしれません。
「一番いい洗剤」の答えは1つではありません。
- どんな汚れを落としたいか
- どんな衣類を洗うことが多いのか
など、生活環境によりベストな洗剤は異なります。今回は、ご自身に合った洗剤を見つけるための3つのポイントを解説します。
洗剤の違いを知ろう
前提として、ニットなどデリケートなおしゃれ着と、皮脂・汗などの汚れがつきやすい肌着・普段着とでは、洗剤を分けます。
液性で選ぶ
衣類用洗剤には大きく分けて、「中性洗剤」と「アルカリ性洗剤」があります。
■中性洗剤
おしゃれ着を洗濯するときに使い、洗浄力は低いものの、素材の風合いを守りながら洗濯をすることができます。「手洗い」の洗濯表示があるものは基本的に中性洗剤を使用します。
■アルカリ性洗剤
普段着を洗濯するときに使い、皮脂や汗、食べこぼしなどの汚れに効果的な洗浄力が高い洗剤です。液体洗剤より粉洗剤のほうがより洗浄力が高くなります。
ウール・シルクなどの洗濯には使うことができません。
衣類に合わせて使い分けが基本
洗剤は「汚れを落としたいか」「風合いを保って洗いたいか」により、使い分けましょう。洗濯表示に「中性洗剤を使用」と表示のある衣類もあるので洗濯前に確認します。
- おしゃれ着:おしゃれ着用洗剤(中性洗剤)
- 普段着・肌着:アルカリ性液体洗剤・中性液体洗剤 ※アルカリ性液体洗剤のほうがおすすめですが、市販洗剤はほとんどが中性洗剤です
- 汚れている衣類:アルカリ性粉洗剤
成分で選ぶ
汚れを落とす界面活性剤以外に、様々な成分が配合されています。衣類に合わせ、成分を選びましょう。
蛍光剤(蛍光増白剤)
蛍光剤は、紫外線を吸収し、白物をより白く見せるために使われる塗料です。
白物に使うと、よりパキっと白く仕上がりますが、パステルやベージュ、生成りの衣類に使用すると、色合いが変わってしまうため注意が必要です。
漂白剤
化学的にシミの汚れや色素を分解し、除菌・殺菌ができる薬剤です。洗剤に配合されているのは酸素系漂白剤で、色柄物にも使用できます。
ニオイや黄ばみが気になる場合は、配合されているものを選ぶ方と効果があります。
酵素
皮脂・食べこぼしなどのタンパク質汚れを分解します。黄ばみ・皮脂汚れ、食べこぼしが気になる場合は、配合されているものを選ぶ方と効果があります。
柔軟剤
柔軟剤は、衣類を柔らかくする仕上げ剤です。洗剤に柔軟剤を入れることで、通常よりふんわり仕上がります。ほかの洗剤と同様に、漂白剤や柔軟剤との併用も可能です。
アルカリ剤
洗剤はアルカリ性の方が洗浄力が高くなります。洗濯液の液性を保ち、洗浄力をUPさせる働きをします。
どれを選ぶかよりも大切なのは「どう使うか」
洗剤を変える前にまず試してほしいのは、正しく洗剤を使うことです。洗剤の量は、多すぎても少なすぎても、よくありません。計量し、規定量使用します。計量が面倒な方は、自動投入がおすすめです。
洗剤の入れすぎは汚れ戻りの原因に
衣類につくほとんどの汚れは、水だけで洗っても落とせません。これを繊維の奥から浮かせ、水に溶かし出すのが洗剤の役割です。
洗剤が多ければ汚れもよく落ちそうですが、洗剤が多すぎるとすすぎ残しが発生します。衣類から溶け出した汚れは、洗剤に包まれているため、すすぎ残し=汚れを包んだ洗剤成分が衣類に戻ることになってしまいます。
洗剤が少なすぎると汚れが落とせない
水の量に対し洗剤が少なすぎると、今度は繊維から汚れを十分に浮かせることができず、衣類に汚れが残ったままになってしまいます。
かさの大きい衣類を洗う場合は、水量が足りなくなることがあるので、水量を確認し、水量に合わせた洗剤量を使用しましょう。
汚れ落ちがUPする洗剤の使い方
■つけ置き洗い
皮脂の汚れ(黄ばみ・黒ずみ)や嫌なニオイを落としたいときには、つけ置き洗いをしましょう。アルカリ性の粉洗剤を40度程のお湯に溶かし、1時間ほどつけ置きしてから洗濯機にかけます。
お湯を使うことで洗剤の洗浄力がUPし、繊維の奥の皮脂汚れまで溶かし出します。
■前処理
食べこぼし等のシミが気になる場合は、洗濯機にかける前に直接液体洗剤を塗布します。余裕があれば、ブラシなどで叩き繊維の奥に洗剤を叩き込みます。襟袖の蓄積汚れを予防したい時にも◎
洗剤を変える前に試してほしい3つのこと
洗剤難民の方は洗剤を変える前に、洗剤の使い方を変えることで、ニオイや黒ずみが劇的に改善されることもあります。まずは次の3つを見直してみましょう。
1.洗濯物の量は8割まで
衣類の汚れ・ニオイを落とすには、洗濯物が適量であることが大切です。適量は、蓋が締まるギリギリではありません。
- 縦型:8割まで(洗濯槽のステンレスが見えるくらい)
- ドラム式:5~7割まで(ドラムを時計に見立て、9-3時の線)
衣類を詰め込みすぎると、水流の力で汚れを落とすことができず、汚れが残ってしまいます。また、詰め込みすぎると衣類への負担が大きくなるため、毛羽だったり、シワだらけになってしまいます。
シミ・シワ・毛羽立ちが気になる方は、詰め込みすぎが原因かもしれません。
2.すすぎの回数は2回以上
すすぎの回数は、汚れ落ち・ニオイ落ちに大きく関係します。
衣類は洗濯槽の中で、汚れが溶け出た汚染水に浸かっています。衣類からこの汚染水をしっかりすすがなければ、ニオイ・汚れ・雑菌が衣類に戻り、蓄積汚れとなります。
黒ずみやニオイが気になる方は、すすぎ不足が原因かもしれません。
3.洗濯槽の掃除は月に一回
どんなに洗浄力のある洗剤を使っても、黒カビだらけの洗濯槽で洗濯をしていては、衣類を清潔にはできません。
洗濯槽裏は黒カビが繁殖しやすい場所です。衣類に黒カビが付着する前に、洗濯槽は定期的に掃除し、清潔な洗濯槽で洗濯しましょう。
洗濯で悩みが続くとき、「洗剤を変えてみようか」と考える方が多いと思います。洗剤の成分は汚れ落ちや衣類の風合いに影響を与えますが、それ以上に大切なのは洗剤を「正しく」使うということです。
まずは、
- おしゃれ着と普段着で洗剤を分ける
- 「洗剤量」「衣類量」「すすぎ回数」を見直す
- 清潔な洗濯槽で掃除をする
という3点を改善してみてください!きっと汚れ・ニオイ落ちが劇的に変わるはずです。