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200年に一人の天才ボクサーが語る「敗北を乗り越えて」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
2.26世界初挑戦で敗れた谷口将隆は新たな挑戦に向かう 撮影:山口裕朗

 現役時代、所属していた協栄ジム会長、故金平正紀に「具志堅用高を超える逸材。200年に1人の天才」と絶賛された元WBAジュニアウエルター級1位、日本同級&日本ウエルター級王者の亀田昭雄。

 本シリーズでお馴染みの彼が、2月26日のWBOミニマム級タイトルマッチで敗れた谷口将隆について語った。

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 WBOミニマム級タイトルに挑んだ谷口将隆が練習を再開するんですね。チャンピオンのビッグ・サルダール(フィリピン)は、決して強い王者ではありません。むしろ弱いチャンプでしょう。谷口は、そのサルダールに対してジャブでコントロールできなかった。リードパンチが有効に使えなかったことが敗因です。

 厳しい言い方になりますが、谷口は腰が高く、アマチュアのパンチっぽかったです。あの戦い方では、アマでは日本の上位に行けるでしょうが、プロでは頂点に立てません。

 今後の課題として谷口は、3センチ腰を低く構えてほしいです。腰を落とせば視界が変わります。色んな角度からジャブが打てるようになりますよ。プラス、彼が得意とする左ストレートも生きます。

 重心を落としてズシリと重いリードパンチが打てれば、スタミナもロスしないんですね。是非、腰を低くすることを頭に入れてトレーニングを積んでもらいたいですね。また、接近戦時には、右フックが欲しかった。出て来る相手を引っ掛けるようなショートの右です。腕相撲のような軌道で、短く、速い右を覚えさせたいですね。

 谷口は僕と同じサウスポーですから、ジャブ、ストレートの他に右フックをモノにできれば、バリエーションが増えます。ロングフックとショートフックの使い分けなども考えるようになるでしょうし、右フックを捨てパンチとして勝負のストレート、という展開も出るようになるでしょう。

 谷口は素直な性格なんですね。それは聞く耳を持っているということです。まだまだ彼は己のボクシングを改善できるし、伸びます。頑張ってほしいですね。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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