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20代が「自家用車を買ってもいいな」と思える世帯年収をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
自家用車があると色々と便利には違いないが(写真:アフロ)

車の所有率が若年層の間で減少していると語られる機会が増えたが、そのもっとも大きな原因は現状、そして将来にわたる見通しとしての可処分所得の減少。見方を変えれば金銭的な充足があれば、若年層も自家用車の所有に積極さを見せることになる。それ自身は極めて当たり前の話ではあるのだが、ならば(世帯)年収でどれぐらいの額を確保できれば、所有を考えるようになるのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2024年1月に発表した調査「20代の金銭感覚についての意識調査2024」(※)の結果を基に確認する。

次に示すのは年収の一定区分別の回答値と、累積回答値を併記したもの。例えば年収400万円に達した時点で取得してもよいと考える人は、年収500万円の条件でも当然取得したいと考える。400万円より500万円の方が、金銭的余裕は一層あると考えられるからだ。そこで各年収の区切り別回答値に加え、累積の回答値も併記した次第。例えば自家用車で300万円の累積回答値は23.0%だが、これは「年収を問わず所有したい」の12.4%、「200万円」の4.2%、「300万円」の6.4%をすべて足した結果である。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(20代、自家用車、円)(2023年)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(20代、自家用車、円)(2023年)

個々の区分回答値では年収がいくらになっても所有・購入したいとは思わない人が25.9%ともっとも多く、次いで500万円の12.8%が続く。仮に少なくとも半数が自家用車を所有・購入したいとする年収を算出するなら、累積回答値を用いる必要があるので、600万円の54.3%となる。つまり年収600万円が確保できれば、20代の半分以上は自家用車を所有しようと考える。2/3以上を目指すならば年収は1000万円以上。

若年層の自動車所有値を高めたいのなら、関連各方面は該当世代の世帯年収を少なくとも600万円程度に引き上げ、安定化させる方策が費用対効果の上でも望ましい切り口となる。ただしその条件の場合、望めるのは半数強でしかないが。

同様の調査は過去においても実施されており、その累積回答率を直近年分も含めて5年分さかのぼり併記したのが次のグラフ。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(20代、自家用車、累積、円)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(20代、自家用車、累積、円)

一部イレギュラーな動きもあるが、おおよその階層で値が減少している、つまり自家用車を所有しようとする人が減っている傾向があった。2021年ではその前年の2020年分から大きく持ち直しており、新型コロナウイルスの流行における景況感の後退が、ある程度落ち着いてきたとの認識が影響したのかもしれない。しかし2022年以降は再び減少に転じてしまう。

自家用車は仕事柄、居住地域の状況から取得が不可欠な人もいる。個々の環境によって所有動機は大きく変動するため、世帯年収はあくまでも要素の一つ。

一方で金銭上の問題が大きな影響を与えることも事実。消費の活性化を若年層に望むなら、それを後押しすべく、その年齢階層の世帯年収の底上げと安定化を推し量ってほしいものである。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2024

2023年12月13日から15日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者826人、既婚者174人。調査協力機関はネットエイジア。

今調査における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)ではなくサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収ではなく、世帯年収であることに注意。回答者が所帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせてカウントされる。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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