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2023年は気温が過去最高の年に 寒気の南下が弱く、初雪は遅れる見通し

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京の初雪の平年日は1月3日(写真:ロイター/アフロ)

 今年は異例の年になりそうです。2023年(1月~9月)の日本の年平均気温の基準値からの差はプラス1.47度となり、統計を開始した1898年以降で最も高くなりました。10月も基準値を0.78度上回っています(27日まで、筆者まとめ)。

 今年も残り2か月となりましたが、年末にかけても気温の高い状態が続く可能性が高く、余程のことがない限り、今年はこれまでで最も気温の高い年になるでしょう。

2023年1月~9月までの日本の月平均気温の基準値からの差を示した図(筆者作成)
2023年1月~9月までの日本の月平均気温の基準値からの差を示した図(筆者作成)

10月末なのに夏日

 きょう(28日)は全国的に晴れて、関東地方でも25度以上の夏日となった所がありました。

 11月になると、いよいよ平地でも雪が降るようになりますが、この先も日本列島は暖かい空気に覆われやすく、全国的に気温が高くなる見通しです。

【気象庁1か月予報】10/28~11/27までの平均気温の予想(ウェザーマップ作画)
【気象庁1か月予報】10/28~11/27までの平均気温の予想(ウェザーマップ作画)

 さらに、12月も冬型の気圧配置が弱く、日本海側では平年と比べて雨や雪の日が少なくなるでしょう。初雪は遅くなる可能性が高いです。

 今年の気温が過去最高となる可能性が高いのは発達を続けるエルニーニョ現象に加えて、インド洋の影響もあるからです。

強いインド洋ダイポールモード現象が発生

 オーストラリア気象局(BoM)は24日、インド洋ダイポールモード指数がプラス1.79度(10/22までの一週間)となり、2001年以降では2番目に高くなったと発表しました。2019年に次ぐ、強いインド洋ダイポールモード現象の発生です。

 インド洋ダイポールモード現象(IOD:Indian Ocean Dipole)とはインド洋の東西で、海面水温に大きな偏りができる現象のことで、東部で平常時よりも低く、西部で高いときを正のインド洋ダイポールモード現象と言います。

【模式図】正のインド洋ダイポールモード現象が冬の季節風を弱めるメカニズム(筆者作画)
【模式図】正のインド洋ダイポールモード現象が冬の季節風を弱めるメカニズム(筆者作画)

なぜ、正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると日本は暖かくなるのか

 インド洋東部の海面水温が低くなると、雲の発生が少なくなり、いつもと比べて晴れやすくなります。その影響で、フィリピン付近で高気圧が強まり、西日本に向かって南寄りの風が吹きます。

 いつもならば、冷たい北西の季節風が吹きますが、それが弱められて寒くなりにくい=全国的に気温が高くなるのです。

 正のインド洋ダイポールモード現象は少なくとも12月まで続く可能性が高く、今年は過去例のない気温の高さとなりそうです。

【参考資料】

気象庁ホームページ:気温・降水量の長期変化傾向、日本の気温と降水量の長期変化傾向

オーストラリア気象局(BoM):Climate Driver Update、El Niño and positive Indian Ocean Dipole persist、24 October 2023

気象庁:3か月予報(11月~1月)、2023年10月24日発表

気象庁:1か月予報(10/28~11/27)、2023年10月26日発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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