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山沢拓也、スーパーラグビーデビューなるか。課題の「理解力」について語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表キャップ(代表戦出場数)は3(写真は筆者撮影)。

 深谷高校3年時に日本代表の合宿メンバーとなっていた現パナソニックの山沢拓也が、国際リーグのスーパーラグビーでのデビューに近づいている。国内トップリーグで活躍していた昨年10月に足を怪我しており、故障からの復帰初戦をスーパーラグビーデビューとする可能性もある。

 

 3月17日、日本チームのサンウルブズへの途中加入を発表。23日にシンガポール・ナショナルスタジアムでおこなわれるライオンズでのメンバー入りを目指す。今秋開幕のワールドカップ日本大会を見据えたラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)の一員でもある。

 本格的にラグビーを始めた高校1年時から「2019年の星」と謳われた山沢は、身長176センチ、体重81キロの24歳。司令塔のスタンドオフを務め、鋭いランとボディバランスでスタンドを沸かせる。2016年には筑波大学在学中ながらパナソニック入りし、初の「大学生トップリーガー」として話題を集めた。

 日本代表ではエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチの元では将来性を買われるも、ジェイミー・ジョセフ現ヘッドコーチのもとでは2、3番手を争う格好。2月上旬からRWCTSキャンプでフィジカルと基本スキルを強化しており、今度のサンウルブズ入りへは「自分のできることを精一杯やる」と意気込んでいる。19日の全体練習後、思いを明かした。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――サンウルブズ合流。コンディションはいかがですか。

「この1か月のキャンプで基礎体力はついた。コンディションはいい方だと思います。自分の強みは、スタンドオフですけどランで抜きに行くこと。それをスーパーラグビーでも出していければと思います」

――大きな舞台へ挑みます。課題は。

「個人的に課題にしているのが、ゲームの理解力、ラグビーを知ること。レベルの高い選手がいるスーパーラグビーでいろんなことを学んで、自分のできることを精一杯やって、アピールしたいです。

 スタンドオフは司令塔。他の人と話し合いながら自分のなかでの『こういう場面ではこんなマネジメントをする』といった引き出しを多く持てれば、(試合で)パニックにならなくなると思います。ただ試合をやるだけじゃなくて、色んな事を聞きながら、話しながら、上げていきたい(課題を克服したい)です。

 スーパーラグビーに出られれば嬉しいことです。それ以前に自分は去年10月くらいからプレーしていない。そこでいきなりスーパーラグビー(に出る)。置いていかれないようにコンディションを上げていきたいです」

――プレー中の連携について。

「(サンウルブズには外国出身選手が多く)なかなか日本語が通じない。かつ、喋らなきゃいけないポジション。慣れていって、喋れるようになっていければと思います。サンウルブズのムーブ、コールというのを知ることから始まる。それを早く知って、(プレー中に)速く言えるようになれば、(合間に)『そのなかでもっとどうしたらいいか』の話し合いができる。ベースのところを上げていきたいです」

――パナソニックではかつてオーストラリア代表を率いたロビー・ディーンズ監督や元オーストラリア代表スタンドオフのベリック・バーンズ選手(通称バンジー)、RWCTSでは現日本代表スタンドオフの田村優選手から多くを学んでいます。

「ロビーさん、バンジーさんに色々と聞いたり(質問する)。あと、パナソニックで言えば堀江さん(翔太、日本代表)が『フォワードから見たらこうして欲しい』ということを結構、言ってくれる。それはすごくためになりました。田村優さんにも色々と聞きました。(日本代表でのプレーに関しては)わからないことだらけだったので。『ここではこういう立ち位置がいい』『それをするなら、ここについて考えた方がいい』と、色々と教えてもらいました」

――ワールドカップ時の日本代表メンバー入りへ。

「いまは間違いなく一番下の位置にいると思います。他のメンバーから色んな事を聞いたり、学んだり、考えたりしながら、(得たものを)自分の色に合わせていければまた一歩レベルアップできるかと思います。自分の国でワールドカップができるということはすごく嬉しいことで、もう、一生ないとも思う。このチャンスをものにできるよう、いまから自分の出来ることをしっかりやっていきたいです」

――ラグビーを始めた頃から「2019年の星」と謳われていました。大本番が近づいてきましたが、当時といまとでは心境は違いますか。

「昔はもう、全然(ワールドカップ出場について)考えてもいなかったというか。周りからはそう言ってもらえていたけど、想像もつかなかった。ですけど、ここ1~2年はそれ(ワールドカップ出場)を意識して練習をするようになったと思います」

 練習の虫としても知られ、山沢を深谷高校ラグビー部へ誘った当時の横田典之監督(現熊谷高校)、いまやイングランド代表を率いるジョーンズ、パナソニックを指揮するディーンズなど、関わった指導者の多くを唸らせてきた。強度の高いスーパーラグビーの舞台でハイパフォーマンスを発揮し、日本代表での序列を覆したい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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