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おせち食中毒に注意 「日持ちする」という常識を捨てよう #専門家のまとめ

倉原優呼吸器内科医
(写真:イメージマート)

正月の食卓では、家族や親せきが集まっておせち料理を食べるのが定番です。餅による窒息にも注意が必要ですが、近年は「おせち料理による食中毒」も注意喚起されています。もともと、お正月くらい家事を忘れてゆっくりするために考案された保存料理ですが、食材や調理法が多様化して保存がききにくくなっています。

ココがポイント

①必要な量のみ調理、②消費期限内に食べきる、②冷蔵・冷凍が必要な食品は長時間室温に放置しない(農林水産省)

すごく酸っぱくするという風に(中略)食中毒細菌が増殖しにくい状態にしていました。ところが、近年のおせちはそうとは限らない
出典:弁護士JP 2024/1/2(火)

冬でも快適な部屋ではおせちが傷みやすくなっているので、おせちによる“家庭内食中毒”の発生が懸念されます
出典:女性自身 2024/12/21(土)

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント(厚生労働省)

エキスパートの補足・見解

おせち料理は、年末年始につくりおきすることが多く、食器・容器等の盛り付け作業も多いです。手が汚れている人や体調不良の人が調理すると、二次的な食中毒を引き起こすことがあります。上述したように、おせちとは元来、味付けを濃くしたり酸っぱくしたりすることで食中毒の原因微生物が増殖しにくい保存料理でした。しかし、若者の「おせち離れ」を防ぐため薄味や洋風に変化しつつあり、近年は「保存がきく」「日持ちする」という側面が薄れています。

また、暖房のきいた部屋の中に長時間放置されると、菌やウイルスが繁殖しやすくなります。

毎年、正月に多くのノロウイルス感染者が発生しています。下痢やおう吐などの症状がある場合、無理して料理に携わらないことが重要です。ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間です。帰省中におなかの調子が悪くなった人が複数いる場合、疑う必要があります。インフルエンザや新型コロナと違って、ノロウイルスはアルコール消毒がききにくいです。石けんでの手洗いが一番有効な予防法です。

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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