高齢者は"餅卒(もちそつ)"も考慮 餅で窒息したときの対処法
餅による窒息死亡事故の約40%が1月に集中します。気道に異物が入り塞がってしまうと低酸素血症となり、約5分で心停止に至ります。特に乳幼児や高齢者は窒息リスクが高いので、いざという時のために対処法を確認しておきましょう。
「三が日」に餅の窒息事故が集中
2005年から約7年間、大阪府で調査された窒息事故による成人の心停止をみた研究によると(1)、窒息の約10%が餅によるものです。餅による窒息事故の約40%は1月に発生します(図1)。特に、正月の「三が日」に集中します。
そのため、正月になると毎年のように餅の窒息事故が発生します。乳幼児や高齢者、その他脳卒中の後遺症や神経疾患などの持病がある方では注意が必要です。
窒息の応急処置
応急処置としては、背中を叩いて吐き出させる背部叩打法がもっとも簡単ですが、餅はネバネバしているので、排出させるのはなかなか難しいです(図2)。腹部突き上げ法なども行われますが、これも餅が相手だとなかなか取れません。
東京消防庁が公開している、窒息に対する対処法の動画リストです。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLJ6976ih2IIhVvuwjGlfn-MjoKtyBjxda
窒息が解除されない場合、約5分で心停止に至るため、心肺蘇生をおこないます。胸骨圧迫によって窒息が解除されることもあります。
東京消防庁が公開している、心肺蘇生法の動画リストです。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLJ6976ih2IIhTFx7wk1OtxP9cHfFW5MHg
"餅卒(もちそつ)"も検討
「せっかくの正月だから、どうしても餅が食べたい」という気持ちもわかります。そのため、最近は高齢者が窒息しにくいよう、べたついたり伸びたりしにくい餅や小さなサイズの餅(介護用の餅)が市販されています。
あるいは、食事の楽しみは他のメニューで補うこととし、餅を卒業する"餅卒(もちそつ)"も検討してもよいかもしれません。
餅を食べる場合、できるだけ窒息リスクを下げる工夫するように心がけましょう(図3)。
(参考)
(1) Kiyohara K, et al. J Epidemiol. 2018 Feb 05;28(2);67-74.
(2) 政府広報オンライン. 「えっ?そんな小さいもので?」子供の窒息事故を防ぐ!(URL:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html)
(3) 餅による窒息に要注意!喉に詰まったときの応急手当は?(URL:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202212/2.html)