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メイウェザーの目の色を変えた天心のパンチ【 那須川天心 独占インタビュー前編】

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
TEPPEN GYMでスタッフ撮影

 年末の大晦日にボクシング5階級王者のフロイドメイウェザーと、キックボクサーの那須川天心が対戦した。大きな話題を呼んだ一戦から落ち着いた頃、親交がある天心に単独インタビューを行なった。

 前編では話題となったメイウェザーとの一戦について。後編では今後のボクシングへの転向、気になるライバル、天心の意外な一面にせまった。

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キャンセルは3回ぐらいあるかなと

ーーー次の試合は3月10日。今は、それに向けて調整してるんだよね。今日は、まず年末に行われたメイウェザーとの試合について聞きたいんだけど、決まった時どう思った?

天心:あり得ないという気持ちがあって、本当にびっくりしました。でも、話が進んできて、試合をやるという話になりました。

ーーー話をもらってからすぐに試合が決まったの?

天心:そうですね。話をもらったのが試合のちょうど1カ月前ぐらいです。

ーーーけど、メイウェザーのプロモーションみたいなもので、1回キャンセル騒動もあったよね。

天心:まあ、キャンセルは3回ぐらいあるかなと、想定はしていました。

ーーー今回は海外でも調整してたけど、どうだった?

天心:日本では、TEPPEN GYMの岡本さん、GLOVESの葛西裕一さんのもとで練習していたんですが、2週間毎日ボクシングだけ、という生活はありませんでした。

海外で、短期間でしたがパンチの感覚が変わったり、色々なパンチを体感できて、とても勉強になりました。

ーーーリナレスのジムで調整したんだよね。俺も現役の時、優秀なトレーナー達にすごくお世話になったよ。

調整を狂わせたバンテージの巻き直し

ーーー試合の時はどうだった?お父さんからも話を聞いたけど、メイウェザーの計量が見れなかったとか。

天心:そうですね。こちらとしても、その行動には戸惑いました。それに、RIZINがメイウェザーに気を使い過ぎていた雰囲気を感じました。

ーーーRIZIN側とメイウェザー側が対等に交渉できていないような感じだったんだ。「バンテージの巻き直し」もあったけど、どうだった?巻くのに30~40分かかるよね。

天心:かかりますね。アップの時間をいつもより多く取ろうと決めていたんですが、「バンテージの巻き直し」のせいで全然できませんでした。

メイウェザーが遅れてきて、RIZIN側も巻いていいよと言ったので、巻いたんですけど。

RIZIN側が判断できていなかったようです。巻き直せと言われるかもしれないので、動画も撮っていたんですが。

ーーーそうだったんだ。かなり、フェアじゃない戦いからスタートしたね。

実際にメイウェザーとリング上で向かい合ってみて、どう感じた?

メイウェザーの目の色を変えたパンチ

天心:まず入場したメイウェザーの体を見た時、すごくデカイなと思いました。今まで直接会った時は、いつも服着ていたので。そこで、少し怖くなりました。

ーーー会見の様子を見ると、メイウェザーって身長170センチぐらいだよね。

現役の時の体重は、計量から試合の当日で、プラス1、2キロぐらい増やしてたみたいだけど、あの時、試合を見ていて契約体重66.7キロから、プラス5キロぐらいあったように感じたな。

天心:自分が62キロだったので。そこから5キロしか変わらないというのは、ありえないと思いました。

ーーーメイウェザーの圧力とか、プレッシャーは感じた?

天心:圧力もプレッシャーのかけ方も、他の選手とは格が違いました。自分がやられて、一番嫌なことをやってきたなと。

正直、メイウェザーがいつもみたいに避けるという感じなら、戦えると思っていました。

ですが、ガードを固めた状態で前に出てきたので、想定していた以上に戦いづらかったです。

ーーーメイウェザーが体格差で、天心をつぶしにきたような感じだね。

天心:そうですね。最初ダウンしたじゃないですか。でも、その前に1つストレートが、「バンッ!」って当たって。

メイウェザーの目が赤くなっていたので、「お、当たった!」と思っていた直後、どんどん前にきて攻めてきました。

ガードも長い手で覆い隠されていて、パンチを打っても、硬い石みたいな感じでした。

ーーーメイウェザーのスキルの高さやスピードは感じた?

天心:すごく感じました。フェイントにフェイントを全部合わせてきたので、もう、パンチを出せないなと感じました。

今までにないようなパンチ力

ーーーパンチ力はどうだった?

天心:重かったです。初めてあの体格差でやったというのもありますけど。単純に重かったです。

ーーー1回目のダウンのときは効いた?

天心:ぐわあ、ぐわあという感じがしました。今までにないような感じで。

ーーー2回目はボディから上だったね。

天心:あれは、騙された感じでした。腹、効いていることはなかったんですが、突き飛ばされました。

ーーー1回目のダウンで頭が回って、結構感覚がずれてるような感じだったね。もし、タオルが入らなかったら、まだやりたかった?

天心:それはそうです。まだ意識があったので。

世界を巻き込んでいる感じが嬉しい

ーーー試合後、メイウェザーと会話とかしたの?

天心:はい。自分の前に来て「お前はすごく才能があるから、これから本当に期待しているよ」と言ってもらいました。

ーーー試合前は、メディアを騒がせたけど、試合後は、クリーンでいい人だったよね。

後日、マクレガーをはじめ、ボクシング界のホープ選手の「天心と戦いたい!」という発言についてはどう思う?

天心:色々な意味があると思います。自分としては、世界を巻き込んでいる感じがして、すごく嬉しいです。やはり、日本人でこんなに知られている選手はいないと思いますし、それができたのは、今回の試合があったからですね。

負けてしまいましたが、メイウェザーに挑戦できたので、今回の試合はやってよかったと思います。

ーーー貴重な経験になったね。天心の知名度も一気に上がって、SNSのフォロワーもかなり増えたよね。

天心:増えました。こういう恐怖心とかを初めて味わえたので本当に良い経験になりました。

ーーー今後についてだけど、今年の目標は?

天心:3月から始まるRISEの世界トーナメント優勝です。

ーーーまずは目の前のことだよね。俺はボクシング中心なんで、いつかは天心にもボクシングに来てほしいと思ってるよ笑

天心:そうですね笑

後編に続く

天心が語る夢の舞台【那須川天心 独占インタビュー後編】

GLOVESの葛西裕一さんとミット打ち
GLOVESの葛西裕一さんとミット打ち
元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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