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もう一度「Believe」をキーワードに這い上がってほしいアトランタ・ホークス

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズンのPlayoffで、東地区決勝まで駒を進めながら、2勝4敗でミルウォーキー・バックスに敗れて涙を飲んだアトランタ・ホークス。PGで、エースのトレイ・ヤングが右足の打撲で4戦目以降を欠場しなければ、違った結果になったかもしれない……という期待を抱かせる"気高き敗者"だった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210625-00244465

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210630-00244570

 敗戦直後、ヤングをはじめとしたホークスの面々は「自分たちはやるべきことをやった。必ずこの経験を次に繋げてみせる」と語り、今シーズンへの希望が漲っているかのようだった。

 Playoffで彼らは「Believe」を合言葉としていたが、己を信じ、仲間を信じ、未来を信じて闘う姿は胸を打った。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかし、現地時間1月9日時点で17勝22敗と、昨シーズンの快進撃が嘘のような低迷ぶりだ。特に今季11月3日からの6連敗は、目を疑った。

 ヤングはこの6試合全てに30分を超えてコートに立っており、どのゲームでも20得点以上したが、狂ってしまったチームの歯車を立て直すのは容易ではない。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 1月9日、ロスアンジェルスでクリッパーズと対戦したホークスは、34分25秒出場のヤングが19得点7アシスト、31分5秒プレーしたボグダン・ボグダノヴィッチも19得点6リバウンドをマークしながら、93-106で敗れた。

 クリッパーズのシュート成功率が47.8%なのに対し、ホークスは44.9%。13人の選手がプレーした勝者に対し、ホークスの戦力は11名だったことがマイナスだったか。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ホークスの背番号11は、昨年末、新型コロナウイルスに感染し、12月22日、23日、25日の3試合を欠場した。ホークスから、安全衛生プロトコル入りしたメンバーはヤングを合わせて2桁となっている。

 クリッパーズ戦の黒星で、ホークスは2022年となってから3連敗となってしまった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ヤングは、1月3日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦で圧巻の56ポイントを挙げながらも、チームを勝利に導けない。昨シーズンの強いホークスに魅了された身としては、物悲しい光景が続く。

 クリッパーズ戦での彼は、ベンチに下がる度に膝に幾重ものバンテージを巻き、徹底したアイシングを繰り返していた。先月上旬に左膝の痛みを訴えていたが、今も違和感が残るのか。

 既にチームの顔となっているヤングだが、1998年9月19日生まれの23歳と、まだまだこれからの男である。今日の苦しみを糧として、大きく成長してほしいものだ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 シューティングガードのボグダン・ボグダノヴィッチは、クリッパーズとの試合後に語った。

 「多くの要因がある。何が最も大きな問題なのかはわからない。でも、自分たちの様をきちんと見詰めて、この悪い状態を受け入れなければ」

 ホークスが、再び自らを信じられる集団として復活することを祈りたい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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